住宅ローンや不動産担保ローンを契約したときは返済が可能だと思っていても、だんだんと返済が厳しくなってしまうというケースは少なくありません。さらに、ローン返済のために、また別の借入をするなどを繰り返してしまいますと、借金の額が大きくなりすぎてしまって返済が不可能になってしまうことがあります。多重債務などで返済することが困難になってしまった場合、債務者を救済する措置として債務整理という方法があります。債務整理には、「任意整理」「個人再生」「自己破産」があり、どの方法で債務整理をするかによって、注意しなければいけない内容が異なります。ここでは、「個人再生」で債務整理をする場合、不動産担保ローンを利用していていると家はどうなるのか、また個人再生中に不動産担保ローンを利用することができるのかなど不動産担保ローンと個人再生の関係にまつわる疑問について解説します。
債務整理とは
多重債務などにより返済が困難になってしまう人の増加を防ぎ、安心して借入ができるようになることを目的として、2010年(平成22年)6月に貸金業法が改正され、完全施行されました。2010年6月以降は、貸金業者から年収の1/3以上の借入が禁止されたため、現在、多重債務者の数は減少していますが、それ以前にローンを組んだ人の中には、現在も多重債務のため返済ができずに苦しんでいる人は大勢います。
多重債務で返済に苦しむ人を救済するための措置が、債務整理です。冒頭でもご説明しましたが、債務整理には「任意整理」「個人再生」「自己破産」があります。
「任意整理」と「個人再生」は、簡単に説明すると債務者が無理なく返済ができるように、支払条件を整える方法のことをいいます。「自己破産」は、今まで借り入れた債務を免除してもらうことができる代わりに、債務者が所有している資産価値のある車や家などを手放して借金をすべてなくしてしまう方法です。
任意整理は、基本的に借入金額を大幅に圧縮することはできませんが、個人再生を利用すると債務額を大幅に圧縮することができ、持ち家がある人はローンが残っていても家を手放さずに債務整理を行うことが可能です。
個人再生とは
多重債務や多額の債務をなんとかしたいという願望もありますが、大切な家を失わずに債務整理をしたいと望んでいる人も多いでしょう。
個人再生とは、債務額を1/5程度まで減額できる代わりに、基本的に3年で返済を完済させる債務整理の方法です。同じ債務整理でも「自己破産」の手続きをすると、借金の返済義務もなくなりますが、大切な家を手放さなければなりません。しかし個人再生をする場合、ローンが残っていても住宅ローン特則(住宅資金貸付債権に関する特則)を利用すると家を手放さずに債務整理を行うことができます。
不動産担保ローンを利用している人が個人再生をすると住宅はどうなる?
個人再生とは、借金の金額を減額して、無理をせずに返済ができるようにする方法のことをいいます。
ですが、不動産担保ローンを利用している場合は不動産を担保に借金をしている状態です。そして不動産を担保にしているということは、返済ができなくなったときに担保物件を売却して返済することを了承しているということです。
住宅ローン特則(住宅資金貸付債権に関する特則)を利用すると家を手放さずに債務整理をすることができるという説明をしましたが、この特則を受けるためには条件があります。それは家に「抵当権」がついていないことです。抵当権とは、住宅ローンなどでお金を借りたときにお金を返済することができなくなってしまった場合、家を担保にできる権利のことです。
なぜこのような条件があるかといいますと、住宅ローン特則は他の借金よりもローンの返済を優先することができる権利があるからです。しかし家に抵当権がついていると、不動産担保ローンを利用した会社は、家を担保に貸付金を回収することができるため、家を維持できなく可能性があります。そのため抵当権がついている家、つまり不動産担保ローンを利用している場合は、住宅ローン特則(住宅資金貸付債権に関する特則)を使うことができないため、家を残すことは難しいということになります。
個人再生中に不動産担保ローンを利用することができるのか
次に「個人再生中に不動産担保ローンを利用することができるのか」という疑問についてお答えします。結論からお話すると、個人再生中に新たなローンを組むことはほとんど不可能です。
個人再生を行う場合、返済が滞らないようにあらかじめ綿密な返済計画を立てます。返済計画を立てたときはなんとか返済していけると思っていても、不測の事態が起きてしまい、返済するお金が用意できなくなってしまったら家を担保にお金を借りることはできないかと考える人もいるでしょう。
個人再生中に不動産担保ローンを利用することが難しい理由は、次のようなことがあります。
個人再生を行うということは、今までの借金の返済をすることができなくなったために個人再生を利用しているということです。そして、個人再生は今までの借金を大幅に減額できるメリットがある反面、デメリットもあります。
任意整理の場合は、債権者と債務者が話し合いをして、債務者が返済可能な金額や返済期間を決め、お互いに合意に至ったら約束通りに返済していきます。任務整理の場合、月々の返済額は減らすことができる可能性が高いですが、大幅に借金の金額を減らすことができないため、裁判所を通さずに行うことができます。
ですが、個人再生や自己破産を行う場合、裁判所を通して手続きを行う必要があります。そのため、事故報告が官報に掲載され、信用情報機関にも情報が行くことになります。つまり、信用情報機関に掲載されている人は支払能力がないと判断されてしまう可能性が高いということです。信用情報機関への掲載は一生続くわけではありませんが、5~10年間掲載されるのでこの期間は審査が通らない可能性が高く、新たなローンを組むことはほとんど不可能だといえるのです。
最後に
個人再生は、多重債務や多額の債務者を救済してくれるありがたい措置ですが、債務整理にはさまざまなリスクが伴います。特に家を残すために個人再生の利用を考えている場合、不動産担保ローンを利用している人は注意が必要です。個人再生を行うためには多くの書類を作成する必要がありますし、専門的な知識が必要になることも多いです。個人再生による債務整理を検討している人は、まずは弁護士など法律の専門家に相談することから始めることをおすすめします。
個人再生と不動産担保ローンの関係について、より詳細にご覧になりたい場合は、こちらをご参照ください。