法人税とは、事業活動を行う法人に対して課される税金です。事業によって得た売上収入から、売上原価や販売費などの損失を差し引いた所得に対して課税されます。法人税の支払は、事業年度が終了する決算日の翌日から2ヶ月以内に行わなければいけません。しかし、業績やキャッシュフローの悪化により、法人税の支払が難しいというケースもあります。
そこで今回は、法人税を滞納するとどうなるのか、差し押さえまでの流れや対処法について解説します。
法人税を滞納したときの流れ
法人税の納付期限は、事業年度が終了する決算日の翌日から2ヶ月以内です。
それを1日でも過ぎてしまうと、「法人税を滞納した」ということになります。
法人税を滞納してしまうと、「財産を差し押さえられるのでは?」と不安になる方も多いでしょう。
ですが、法人税を滞納したからといってすぐに差し押さえされてしまうわけではありません。
まずは、法人税の滞納から差し押さえが実行されるまでのおおまかな流れについて説明します。
督促状が届く
法人税を滞納している状態が続くと、まずは督促状が届きます。
督促状とは、約束や義務を果たすように催促する書面です。
管轄の税務署や滞納額によって異なりますが、法人税滞納の場合、納付期限から1ヶ月程で督促状が届くケースが多いようです。
電話や訪問による催告
督促状が届いても法人税が支払われなかった場合は、催告状の送付や電話や訪問による催告が行われます。
催告状を無視したり、電話や訪問を拒否し続けたりした場合は、次の段階に進むことになります。
税務署による財産調査
督促状、電話や訪問による催告をしても法人税が支払われなかった場合は、税務署による財産調査が行われます。
法人名義の預貯金や不動産など、さまざまな財産情報を調べられることになります。
差し押さえの実行
税務署の財産調査が行われた後も、さらに法人税の滞納が続く場合は、差し押さえが実行されることになります。
差し押さえの対象となるのは、法人が所有するすべての財産です。
特に預貯金を差し押さえられてしまうと、従業員への賃金支払や取引先への支払ができなくなってしまうため、注意が必要です。
滞納した法人税への充当
差し押さえた財産は、公売にかけられて換価されます。
換価された財産は滞納した法人税に充当され、残った分は滞納者に返還されます。
法人税を滞納したときのペナルティは?
法人税を滞納すると、ペナルティとして延滞税が課せられます。
延滞税は、税金の支払い期限の翌日から完納するまでの日数によって金額が決まります。
【納付期限の翌日から2ヶ月以内に完納した場合の延滞税率】
年「7.3%」と「延滞税特例基準割合+1%」の いずれか低い割合
【納付期限の翌日から2ヶ月を過ぎた場合の延滞税率】
年「14.6%」と「延滞税特例基準割合+7.3%」のいずれか低い割合
滞納が2ヶ月を超えると延滞税の割合は2倍になってしまうため、できるだけ早く納付する必要があるでしょう。
法人税が払えないときの対処法
では、資金が足りずに法人税が払えない場合、どのような対処法があるのでしょうか。
税務署に相談する
法人税などの国税の納付が一時的に困難な状態にある場合、税務署に相談することで猶予期間中の延滞税の一部または全額、または差し押さえなどの猶予が認められることがあります。
ただし、支払いの猶予期間は原則1年間で、猶予期間中に分割して支払う必要があります。
通常、法人税は一括で支払う必要がありますが、税務署に相談すれば分割での支払いが可能になるケースもあるので、支払いが困難だと判断した場合はできるだけ早く税務署に相談するようにしましょう。
不動産担保ローンを活用
不動産担保ローンを活用すれば、法人税を支払うための資金を調達することができます。
不動産担保ローンとは、不動産を担保に融資が受けられる金融商品です。
銀行から融資を受ける場合は、業績が悪化していると融資を断られてしまうことや審査に通過できないことがありますが、不動産担保ローンは不動産を担保提供する不動産の価値次第では、銀行の融資を断られてしまった法人に対しても融資が行われる可能性は十分にあります。。
また、不動産担保ローンは原則として資金使途が限定されていないため、借りたお金は法人税の支払い以外にも利用可能です。
最後に
会社を経営していると、業績が良い時期もありますが、業績が悪化して資金繰りが苦しくなってしまうこともあります。
法人税を滞納した場合、すぐに財産などを差し押さえられてしまうわけではありませんが、督促状や督促の電話を無視し続けると、最終的に大切な財産が差し押さえられてしまう可能性が高くなります。
法人税が払えないときに大切なのは、まずは税務署に相談することですが、不動産を所有しているのであれば不動産担保ローンを活用して資金を調達することもできます。
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