


子供に不動産を引き継がせたい場合において、生前贈与と相続のどちらを選択すべきかで迷う方も少なくありません。
生前贈与には、自分の意思で引き継ぎのタイミングや相手を選択できるというメリットがある一方で、税負担や手続きの面で注意すべきデメリットもあります。
この記事では、不動産を生前贈与するメリット・デメリットや、相続との違いについてわかりやすく解説します。
生きている間に不動産を承継する生前贈与には、主に以下の5つのメリットがあります。
相続は発生の時期を選べませんが、生前贈与であればいつ贈与するかを自分で決められます。
たとえば、不動産の評価額が下がっている時期を狙ったり、判断能力のあるうちに贈与したりと、適切なタイミングを選ぶことで、税負担を抑えながらスムーズに承継することが可能です。
贈与税には暦年課税制度があり、年間110万円までは贈与税がかかりません。
そのため、不動産を一括で渡すのではなく、持分を分けて段階的に贈与すれば、基礎控除を活用して税負担を軽減できる可能性があります。
親から子への不動産の贈与では、相続時精算課税制度を利用できる場合があります。
この制度を利用すれば、累計2,500万円までなら贈与時に贈与税がかからず、相続時にまとめて精算されるようになります。
不動産のような大きな資産を、親が元気なうちに子供へ引き継ぎたい場合に活用しやすい制度です。
生前贈与では、贈与する相手を自分で指定できます。
均等に分けにくい不動産は、相続時に法定相続人全員で分割協議を行う必要があり、トラブルの火種となってしまうこともあります。
初めから贈与する相手を指定しておけば、相続人が分割方法について検討する手間もかかりません。
さらに、生前贈与では、法定相続人以外にも承継できるため、孫やお世話になった親族などに不動産を引き継ぐことも可能です。
賃貸物件を生前贈与すれば、不動産そのものだけでなく、家賃収入や管理の役割も早めに子供へ引き継ぐことができます。
高齢になって不動産管理が難しくなる前に経営を引き継げば、事業承継がスムーズに進み、子世代による安定運用につなげられます。
不動産の生前贈与には多くのメリットがある一方で、注意すべきデメリットもいくつか存在します。
生前贈与で不動産の名義を変更する際には、登録免許税や司法書士報酬などの費用が発生します。
相続による名義変更では登録免許税が固定資産税評価額の0.4%で済みますが、贈与の場合はその4倍の2.0%が課税される点にも注意が必要です。
また、贈与契約書の作成や登記手続きなども必要で、現金贈与に比べて手続きが煩雑になってしまいます。
暦年課税の基礎控除を適用した贈与であっても、相続発生前一定期間内に行われたものは遡って相続税の課税対象となります。
加算対象期間は、以下の通りです。
| 被相続人の相続開始日 | 加算対象期間 |
| 令和8年12月31日まで | 相続開始前3年以内 |
| 令和9年1月1日〜令和12年12月31日 | 令和6年1月1日から死亡の日までの間 |
| 令和13年1月1日〜 | 相続開始前7年以内 |
出典:国税庁「No.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)」
贈与税は累進課税となっており、贈与を受けた財産の価額が大きくなるほど税率も高くなります。
さらに、相続税と比べると使える基礎控除や計算の仕組みに差があるため、同じ金額の資産を引き継ぐ場合でも、生前贈与のほうが税負担が重くなりやすい点に注意が必要です。
相続時には、自宅や事業用の土地で一定の条件を満たせば「小規模宅地等の特例」が適用され、相続税の評価額を最大80%減額できる場合があります。
しかし、生前贈与ではこの特例が適用できないため、相続時よりも税負担が重くなるケースも少なくありません。
一般的に、税金面では生前贈与よりも相続が有利になるケースが多いと考えられます。
相続税は、基礎控除が大きく、小規模宅地等の特例などの優遇措置も充実しているのが魅力です。
とはいえ、生前贈与にも暦年課税の基礎控除(年間110万円)や、相続時精算課税制度などの優遇制度があるため、計画的に手続きを進めれば税負担を抑えられる可能性もあります。
また、生きている間に不動産の相続を完了させることで、相続トラブルを防ぐ効果も期待できるのも、生前贈与ならではのメリットです。
生前贈与と相続は、一概にどちらが得とは言えないため、どちらを選択するかは、メリット・デメリットを比較した上で総合的に判断することをおすすめします。
不動産の生前贈与は、将来の相続トラブルを防ぐことができ、自分の意思で確実に資産を引き継げる手段である一方、税金面では相続よりも負担が大きくなってしまう可能性もあります。
また、築年数が経過した不動産をそのまま子供に引き継ぐことに、後ろめたさを感じている方もいらっしゃるでしょう。
たとえば、「子供の税負担を少しでも軽くしたい」「リフォームしてから持分のみを暦年贈与したい」と言ったケースでは、無理に不動産の名義を変更せず、自分の名義のまま不動産担保ローンを借り入れ、登記費用やリフォーム費用に充てるのも有効です。
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