不動産を担保に融資を受けた場合、返済ができなくなってしまうと「競売」という法的手段で残債を回収されることがあります。
そこで今回は、競売とは何か、差し押さえから競売までの流れ、回避する方法について解説します。
競売とは
競売(けいばい)とは、債権者が不動産を担保にお金を貸し、債務者が借りたお金を返せなくなったときに、預かっていた担保を強制的に売却することです。
返済が滞ると、債権者はまず督促状を送付して債務者に返済を促します。
それでも返済されなかった場合は、保証会社が裁判所に競売の申し立てを行います。
裁判所が競売を承認すると、担保の不動産は強制的に売却され、売却益から残債を回収されることになります。
競売にかけられる理由
住宅ローンや不動産担保ローンは、住宅や土地などの不動産を担保にお金を借りる金融商品です。
担保とは、債務者が借りたお金を返済できなくなったときに預かっていた担保を売却して残債を回収できる債権者の権利です。
つまり、住宅ローンや不動産担保ローンは、不動産を担保提供して融資を受けることに同意をしてお金を借りているため、返済ができなくなったときは残債を回収するために、競売にかけられてしまうのです。
滞納から差し押さえ、競売までの流れ
返済を滞納したからといって、すぐに差し押さえや競売されてしまうわけではありません。
滞納から、差し押さえ、競売に至るまでには以下のような流れがあり、督促状が届いてから競売の開始が決定されるまでには7~8ヶ月程度の期間があります。
①金融機関から督促状や催告状が届く
②期限の利益の喪失
③保証会社が債権者に代位弁済を行う
④保証会社が裁判所に競売の申し立てを行う
⑤裁判所から「競売開始決定通知」が届く
⑥裁判所の執行員が自宅を訪問して調査を行う
⑦裁判所から「期間入札」の通知が届く
⑧競売が公示される
⑨期間入札が開始される
⑩競売
期限の利益の喪失とは、分割払いができる権利を失うことです。
期限の利益が喪失すると、保証会社は債権者に対して代位弁財を行います。
代位弁財とは、債務者の代わりに保証会社が債権者に支払いを行うことです。
代位弁済が行われると、保証会社が裁判所に競売の申し立てを行います。
ここから、保証会社と裁判所が主体となり、競売に向けて話が進むことになります。
最終的に競売の売却益で残債を返済することになりますが、競売の場合は通常のように不動産を売却するよりも売却価格が低くなってしまうため、不動産が売れた場合でも残債が残ってしまう可能性があります。
競売で知っておきたいこと
競売は法律に基づいて行われますが、競売が行われるとどうなるのか、あらかじめしっかり理解しておくことが大事です。
周囲に知られる可能性
競売が公示されると、新聞やインターネットで競売物件の情報が誰でも見ることができるようになります。
そのため、担保提供した不動産が競売にかけられたことを周囲に知られてしまう可能性があります。
信用情報に傷がつく
1~2回程度の返済遅延であれば、信用情報機関に遅延情報が掲載される可能性は低いと言えますが、ローンの返済を3回以上滞納すると信用情報機関に滞納した情報が掲載される可能性が高くなります。
滞納などの金融事故情報は、5年間残ると言われています。
信用情報機関に加盟している金融機関やローン会社は情報開示請求ができるため、信用情報機関に滞納や返済の遅延情報が掲載されていると、ローンやクレジットカードの審査に通らない可能性が高くなります。
ローン残債は残る可能性もある
不動産を担保に融資を行う場合、一般的には不動産の評価価格に一定の担保掛目をかけた金額を融資限度額としているため、融資限度額は不動産評価額よりも低く設定されています。
これは、万が一返済が滞ったときに残債が回収できなくなる事態を避けるためです。
ですが、競売の場合は通常販売される価格よりも低い価格で売却されてしまうため、売却価格が残債金額よりも下回ってしまうことがあります。
残債金額よりも低い金額で落札されてしまった場合は、ローン残債が残ることになり、自己資金で返済する必要があります。
競売を回避するには?
競売にかけられると、周囲の人に知られてしまう、残債が残る可能性があるなどのリスクがあります。
競売を回避するには、以下のような対処法が有効です。
返済計画をしっかり立てる
住宅ローンや不動産担保ローンは、高額の融資を受けるケースも多いです。
そのため、借入期間が長く設定することができますが、無理な返済計画は返済が滞る原因になります。
特に借入時の年齢が高い場合、返済完了時には会社を退職している可能性もあるため、返済期間中の収入の変化をあらかじめ考慮して返済計画を立てるようにしましょう。
任意売却をする
任意売却とは、競売にかけられる前に不動産を売却するものです。
競売は保証会社と裁判所が売却を行いますが、任意売却は債務者が不動産会社に依頼して売却を行います。
任意売却は、通常の不動産と同じように売ることができるため、競売にかけられるよりも高く売れる可能性があります。
ただし、任意売却を行うためには債権者の同意が必要で、競売の開札日までに手続きを完了する必要があります。
また、任意売却ができる期間にはタイムリミットがあるので、決められた期限までに売却ができなかった場合は競売にかけられることになります。
最後に
住宅ローンや不動産担保ローンの返済が滞り、債権者から督促状や催告書が届いたとしても、すぐに競売にかけられるわけではありません。
ですが、競売が実行されてしまうと通常通りに売却されるときもよりもかなり低い金額で売却されてしまうため、回避することが望ましいと言えます。
経済状況の変化などで返済が難しくなったときは、できるだけ早い段階で金融会社に相談するようにしましょう。
もし、督促状が届いて競売になってしまう可能性がある場合は、早めに不動産会社などに相談するのがおすすめです。
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