不動産を担保に融資を希望する場合、容積率オーバーを理由に融資を断られてしまうことがあります。そこで今回は、容積率とは何か、容積率オーバーを理由に融資を断られたときの対処方法についてご紹介します。
容積率とは?容積率と建ぺい率との違い
容積率とは、敷地面積に対する建築延べ床面積のことを言います。建築延べ床面積とは、各階の床面積の合計です。容積率は地区ごとに50%~1300%の範囲で決められていて、指定の範囲をオーバーしている建築物は容積率がオーバーしていることになります。
建ぺい率とは敷地面積に対する建築面積のことです。建築面積はわかりやすくいうと、建物を上から見たときの面積(投影面積)のことです。1階部分が駐車場などになっている建物以外は、1階部分の床面積を指すことが多いです。
容積率オーバーはなぜ起こる?
容積率とは、敷地面積に対する建築延べ床面積の割合です。たとえば、建築当初は容積率の範囲内で建築されていた建物であったとしても、家の増改築によって延床面積が増えてしまうと、容積率がオーバーしてしまうことがあります。他にも中間検査の段階までは容積率の範囲内で建築されていたとしても、建築途中で設計が変えられてしまったことが原因で容積率オーバーになってしまうこともあります。
容積率をオーバーするとなぜ融資を断られる?
容積率の上限は、建築基準法という法律で定められています。つまり容積率をオーバーしているということは、法律に違反している建築物ということになります。法律違反をしている容積率オーバーの物件はローンを組むことができないので、売却が難しく融資を断られてしまうことが多いのです。
1点注意しなければならないのは、容積率をオーバーしているすべての物件が「違反建築物」ではないということです。建物を建てた後に建築基準法が改正され、規定の範囲を超えてしまった建築物のことを「既存不適格物件」と言います。既存不適格物件の場合は、売却などを行わずにそのまま住むのであれば特に問題はありません。なぜなら現行の建築基準法に適合しなくなってしまった建築物に対して、是正しなければいけないという決まりはないためです。ただし、不動産を担保に融資を受ける場合は現行の建築基準法を元に査定を受けることになります。容積率オーバーの物件は査定評価が下がってしまうため、既存不適格物件であったとしても融資が通りにくい点には変わりはありませんので注意が必要です。
容積率オーバーを理由に融資を断られたときの対処法
容積率オーバーの建物で融資を受けるためには、以下のような方法があります。
- 再調査を行う
- 減築リフォームを行う
1.再調査を行う
建物を登記した時期はかなり昔だった場合、測定に誤差があり、実際の面積よりも狭くなっていることがあります。仮に測定に誤差があったとしても大幅な面積の修正は期待できませんが、3%程度であれば正確な測量をすることで容積率オーバーを回避できる可能性があります。
また、容積率の上限は地域ごとに定められていますが、これらの上限はたびたび見直しが行われており、内容が緩和されることがあります。以前に容積率オーバーで融資を断られていたとしても、規定の緩和があった場合は規定内に収まり、適合となるケースもあります。
2.減築リフォームを行う
減築リフォームとは、増築の反対で面積を減らすためのリフォームを行うことです。オーバーしている分の床面積を減らす減築リフォームを行うことで融資が可能になります。不動産を担保に融資を受けられるところは、銀行やノンバンクの会社などがありますが、不動産担保ローンを専門にしている業者であれば減築リフォームなどの相談がしやすいでしょう。
土地の評価額が高ければ現状のまま融資可能になるケースも
一般的に容積率がオーバーしている物件を担保に融資を行うことは難しいのですが、不動産担保ローンの場合は、土地の評価額が高ければ現状のまま融資可能になるケースもあります。銀行で容積率オーバーを理由に融資を断られてしまったとしても、不動産担保ローンを専門としている会社であれば減築リフォームなどを行わずに融資を受けられる可能性があります。容積率オーバーで融資を断られてしまった場合は、まずは不動産担保ローンを専門に扱っている会社に相談してみましょう。
最後に
容積率オーバーの物件は、売却が難しいため融資を断られてしまう可能性が高くなります。減築リフォームを行い、床面積を減らして規定内に収めることができれば融資が実行される可能性がありますが、融資の審査が通る前に減築リフォーム費用が必要になります。銀行などから融資を受ける場合は、容積率オーバーの物件で融資を受けることは難しいですが、不動産担保ローンを専門に扱う会社であれば、土地の評価額から現状のまま融資を受けられる可能性もあります。容積率オーバーを理由に融資を断られてしまった場合は、不動産担保ローンを専門に扱う会社に相談してみることをおすすめします。