遺留分請求とは、例えば親が亡くなった場合、親が所有していた財産を配偶者、子どもなどが相続するときに発生する可能性がある問題です。遺留分請求は相続者の正当な権利ですが、自宅などの不動産を相続した場合、自宅を相続した人が自分以外の相続者に対して、相続分に相当するお金を支払わなければならないケースがあります。
そこで今回は、遺留分請求とは何か、遺留分請求をされたときに不動産担保ローンを活用できるかについて解説します。
遺留分請求とは
遺留分請求とは、正式には「遺留分侵害額請求」と言います。
遺留分侵害請求とは、法定相続人に最低限保障されている相続財産の取り分です。
仮に遺言書などで特定の相続人に全部相続させると書かれていた場合でも、遺留分の権利は消滅することがないので、財産を相続した相続人に対して遺留分侵害請求を行うことができます。
不動産の遺留分請求はどうなる?
不動産の遺留分請求については、民法の改正により内容が少し変わったため、被相続人がいつ亡くなったのかによって変わってきます。
被相続人が令和元年6月30日以前に亡くなった場合
被相続人が令和元年6月30日以前に亡くなられていた場合は、改正前の民法が適用されるため、以下の3つの方法で遺留分相続が可能です。
・自宅などの場合は遺留分に相当する不動産の共有持分を取得できる
・不動産が収益物件だった場合は、遺留分に応じて共有部分に対する収益が得られる
・不動産全体の価値に対して遺留分の価値を現金に換算し、現金で受け取る(ただし、この場合は不動産を取得することはできない)
どの方法で相続を進めるかは、不動産を所有する相続人と遺留分侵害額請求者の話し合いで決めていくことになります。
現物不動産は、物理的に分けて相続することはできません。
そのため、不動産を相続する場合は、不動産の権利をどれくらい持つかを表す「持分(もちぶん)」という形で分割するケースがあります。
遺留分の権利は、被相続人との関係により、民放によってその割合が定められています。
遺留分の権利は最大で1/2です。例えば、相続人が配偶者と子どもが1人で、遺留分の1/2を配偶者と子どもで分けることになるので、遺留分だけを単純に計算すると配偶者が1/4、子どもが1/4ということになります。子どもが複数いた場合は、さらに子どもの遺留分を人数で割ることになるため、1/2(遺留分の最大の割合)×1/2(配偶者、子ども)×1/(子どもの人数)という計算になります。
民法改正前に被相続人が亡くなられていた場合は、この計算に応じた割合で不動産を相続することが可能です。
被相続人が令和元年7月1日以降に亡くなられていた場合
令和元年7月1日の民放改正により、遺留分侵害額請求は、共有持分としてではなく「不動産の遺留分相当の金銭が請求できる」という内容に変更されました。
つまり、遺留分請求は金銭で行うように変わったため、原則として不動産を所有することができなくなっています。
ただし、金銭での支払が難しい場合は、不動産の共有持分として渡すことも可能です。
遺留分請求された不動産の評価方法
不動産の遺留分請求をされた場合は、遺留分に相当する金銭を支払う必要があります。
そのためには、まず相続した不動産の価値(金額)を調べる必要があるでしょう。
不動産の価値を調べる方法は、調べる目的によっていくつかの種類があります。
固定資産税評価額
固定資産税評価額とは、固定資産税を決める際に使われています。
一般的に時価の7割程度だと言われています。
路線価
路線価とは、相続税を決める際に使われています。
一般的に時価の8割程度だと言われています。
不動産鑑定士による評価
不動産鑑定士による評価とは、不動産鑑定士という国家資格を持つ人が不動産の価格を評価するものです。
不動産鑑定士の評価方法は、評価する人によって計算方法などが違うため、依頼する人によって価格が変わることがあります。
遺留分請求の支払に不動産担保ローンを活用
民法の改正により、不動産の遺留分請求の支払いは原則として現金で支払わなければなりません。
有価証券などの場合は比較的簡単に現金化することができますが、不動産の場合は現金化が難しく、特に自宅を相続した場合は売却して現金化できないケースがほとんどです。
遺留分請求の支払いには、不動産担保ローンを活用することが可能です。
不動産担保ローンとは、自宅などの不動産を担保に融資が受けられる金融商品です。
銀行などの融資と比較すると、比較的審査に通りやすく、自宅に住み続けたままで現金を受け取ることができます。
受け取った現金は、遺留分請求の支払に充てることも可能です。
最後に
遺留分とは、民法によって定められている法定相続人に最低限保障されている相続財産の取り分です。
「遺留分請求」は法律で認められている正当な権利のため、遺留分請求を受けた相続人は、請求側の相続人に対して請求に応じなければならない義務があります。
しかし、不動産のように現金化が難しい財産の場合、請求された金額のお金が準備できないケースもあります。
このような場合は、不動産担保ローンを検討してみましょう。
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