自己破産とは、借金が原因で通常の生活をすることが困難になってしまった人が借入金の返済を免除してもらい、生活を立て直すことができる制度です。（養育費や税金など一部例外になるものもあります）
しかし、不動産担保ローンの契約中は、自己破産をするのが難しいという話を聞いたことがあるという人もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、自己破産とは何か、不動産担保ローンを契約中の自己破産は本当に難しいのかという疑問についてわかりやすく解説します。
自己破産とは？
「自己破産」という言葉にネガティブな印象を持っている方が多いのではないでしょうか。
しかし、自己破産とは借金で生活していくことが困難になってしまった人を救済するための制度です。
もちろん、自己破産することで借金を免除してもらえるというメリットもありますが、自己破産をするためには煩雑な手続きが必要になります。法律の専門家に依頼することになるため、費用もかかりますし、99万円以上の現金や財産は失うことになります。
なかには、生活を立て直す手段として「自己破産」を選択しない方が良いケースもありますので、自己破産を決める前に、まずは弁護士などの法律の専門家に相談することをおすすめします。
不動産担保ローン契約中に自己破産するのは難しい？
自己破産は、必要最低限の財産以外のものを手放すことで借金をなくし、生活の立て直しを図ります。
しかし、このことは裏を返すと債権者にとっては、債務者に貸していたお金が戻らなくなってしまう可能性があるということになります。
債務者から没収した財産からある程度返済してもらうことは可能ですが、債務者がほとんど財産を所有していなかった場合は、貸しているお金がほとんど返ってこなくなってしまう可能性もあります。
そのため、自己破産の手続きを行えば必ず借金がなくなるというわけではなく、債権者の同意が得られなければ、自己破産の手続きが不成立になるケースもあります。
不動産担保ローンがあると自己破産が難しくなる理由
不動産担保ローンがあると自己破産が難しくなるケースがあるというのは事実です。
なぜなら、不動産担保ローンは万が一債務者が返済することが困難な状況になったときに備えて不動産を担保に貸付を行っているからです。
しかも貸付限度額は不動産を売却することで返済が可能になる金額になるように設定されていることが多いことから、担保にした不動産を売却すれば返済されていない残りの残債の回収が可能であり、不動産担保ローンの融資をした側は、無理な相談に応じる必要がないのです。
このように、不動産担保ローンがあると自己破産が難しくなる可能性がありますので、自己破産が難しい場合は自己破産以外の方法で借金を整理する方法を検討することが必要がです。
自己破産以外の債務整理をする方法
債務整理にはおおまかに分けて3つの方法があります。
- 任意整理
- 個人再生
- 自己破産
ここでは、自己破産以外の2つの内容を簡単にご紹介します。
任意整理とは？
任意整理とは、金利分の返済の見直しや返済期間を延ばすなど、債権者との返済額の減額の交渉や返済可能な金額を債権者と相談し、和解交渉をして返済プランを決める方法です。
債権者と債務者（弁護士などの代理人を立てることが多い）との間で直接和解交渉をするので、個人再生や自己破産とは異なり、裁判所に申立をする必要はありません。
債務者が返済可能な金額になるように根気強く交渉することで、無理のない返済をすることが可能になります。
個人再生とは？
個人再生とは、裁判所に申立を行い、再生計画の認可決定を受け、借り入れた金額に応じて借金を5分の1～10分の1まで大幅に減額してもらうことができる手続きのことをいいます。
免責決定を受けた借金に関しては借金の支払い義務がなくなりますが、残った借金はほとんどの場合3年程度で返済する必要があります。
個人再生と自己破産の大きな違いは、自宅などを残したまま借金を大幅に減額することができることです。
ただし、借金を大幅に減額することは可能ですが、残った借金を3年程度で返済することが必要なため、安定した収入がない人の場合は難しい方法だといえます。
債務整理を検討する場合は専門家に相談する
不動産担保ローン契約中の方は、自己破産の手続きをするのが難しいことがあります。
しかし、借金で生活していくことが困難になってしまった場合に借金の負担を減らす方法がないということではありません。
今回ご紹介したように、債務整理の方法は自己破産だけではありません。
たとえば任意整理の場合、債権者と根気よく交渉を続けることで金利分が免除され元金だけにすることも可能ですし、返済期間を延ばすことで返済の負担を減らすことも可能です。
法律に関する内容は専門家でなければわからない複雑な手続きもありますので、不動産担保ローン契約中の方が借金の返済が困難になってしまった場合は、ひとりで悩まずに弁護士などの法律の専門家に相談してみましょう。
最後に
不動産担保ローン契約中は、自己破産が困難になるケースがあります。
自己破産は、借金で生活することが難しくなってしまった場合に債務者を救済する法的な措置としてのメリットもありますが、デメリットもあります。
不動産担保ローンを利用している人が借金の返済が困難になってしまった場合は、ひとりで悩まずに弁護士などの法律の専門家に相談することをおすすめします。
