年齢が高いシニア世代の場合、家や土地などの不動産を所有している人が多く、所有している不動産を利用した融資のニーズが高くなる傾向にあります。しかし、不動産担保ローンに年齢制限はないのか、高齢者でも不動産担保ローンを利用することは可能なのかなど、年齢によるデメリットがあるのかが気になるという方も多いでしょう。
そこでこの記事では、不動産担保ローンは年齢制限なしなのか、高齢者でも不動産を担保に融資が可能なのかなど、不動産担保ローンと年齢制限の関係についてわかりやすくご紹介します。
不動産担保ローンの年齢制限とは
不動産担保ローンには、年齢制限を定めている会社と年齢制限を定めていない会社の両方があります。
不動産担保ローンの年齢制限には、借入時の年齢だけではなく、完済時の年齢制限がある会社があります。たとえば、借入時の年齢が65歳で完済時の年齢制限が70歳だった場合、70歳を超えて返済することができないため5年間で返済しなければなりません。
不動産担保ローンで年齢制限がある場合は、借入金額だけではなく返済期間を考慮した上で利用することが必要です。
不動産担保ローンは年齢制限なし?70歳以上でも借りられる?
年齢制限なしのローン会社であれば、不動産担保ローンは70歳以上でも借りることができます。
ただし、国土交通省の調査によると、融資の際に考慮する項目の中では「完済時の年齢」が99%と最も高く、次いで「健康状態」「担保評価」「借入時の年齢」の順になっていることから、年齢制限を設けていない銀行やローン会社の場合でも、年齢が高くなると審査が通りにくくなる可能性があります。
不動産担保ローンはあくまでも融資の方法の1つなので、貸したお金は返済してもらうことを前提にしています。高齢者になると収入が減少する、健康状態に問題が出てくる可能性が上がるといったリスクが高まるため、年齢が若い人と比較すると審査の基準が厳しくなるでしょう。
参考:国土交通省「令和元年度 民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書」
高齢者が不動産担保ローンを利用するときの注意点
高齢者が不動産担保ローンを利用する場合、いくつか注意しなければいけないことがあります。年齢制限なしのローン会社を利用して融資の審査に通過した場合でも、これらの注意点についてよく検討した上で利用するようにしましょう。
審査が厳しくなる
年齢が高くなると、収入面だけではなく健康状態に関するリスクも高くなります。
さきほど紹介した国土交通省の民間住宅のローンの実態に関する調査結果報告書からもわかるように、審査には担保評価よりも完済時の年齢や健康状態を重視している金融機関が多いことからも、年齢が高くなるほど返済が滞るリスクが高くなると考えていることがわかります。
そのため、年齢が若い人と比較すると年齢が高い人のほうが、審査が厳しくなると言えます。
保証人を要求されることがある
一般的に不動産のような物的担保がある場合、保証人を必要としないことが多くなっていますが、高齢者が不動産担保ローンを利用する場合は返済が滞るリスクを避けるために保証人を要求されることがあります。
一般的に、保証人は若い人が好まれることから、子どもなどにお願いすることを考える人が多いと思いますが、安易に保証人に依頼してしまうと保証人になっていることを理由に住宅ローンや教育ローンが組めなくなってしまう可能性があります。
子どもに保証人を依頼する場合は、このようなリスクを理解しておくことが大切です。
短期間に返済しなければいけない可能性が高い
不動産担保ローンを利用する場合、完済時の年齢も融資の審査では大きなウエイトを占めています。完済時の年齢制限がある場合はもちろんですが、年齢が高くなるほど自力で返済できる期間が短くなりますので、返済期間が短くなることを考慮して融資を受ける必要があります。
自宅を担保にした場合、住む家を失う可能性がある
不動産担保ローンは、別荘、土地などの他に現在住んでいる家を担保に融資を受けることができます。しかし、万が一返済が不可能になってしまった場合は、担保となっている不動産を売却して残債を返済することになります。若い人であれば、万が一自宅を失ったとしても賃貸住宅を借りることはそれほど困難ではありませんが、高齢者の場合は、賃貸住宅の契約を断られてしまうことも多いため、万が一自宅を失うことになってしまった場合は住む家を失ってしまう可能性があります。高齢者が不動産担保ローンを利用する場合は、自宅を担保に融資を受けることはできれば避けた方が良いでしょう。
不動産を相続する可能性がある子ども等に不動産担保ローンの利用を知らせておく
自宅、土地、別荘などを所有している場合、将来は親が所有している不動産を相続すると考えていることが多いのではないでしょうか。そのため、相続する可能性がある子どもに内緒にしたままで不動産担保ローンを利用してしまうと思わぬトラブルに発展してしまうことがあります。所有している不動産を担保に融資を希望する場合は、相続する可能性があるお子さんや兄弟などに不動産担保ローンの利用を知らせておくようにしましょう。
最後に
高齢者の方が不動産担保ローンを利用する場合、年齢制限なしの金融機関やローン会社を利用する場合でも、審査が厳しくなる、返済期間が短くなるといったこと以外にも、保証人を要求されるケースがありますし、自宅を担保に融資を受けた場合は住む場所を失ってしまう可能性もあります。高齢者の方が不動産担保ローンの利用を希望する場合は、このようなリスクがあることを理解した上で無理のない返済計画を立ててから利用することが大切です。