運転資金には、主に4つの種類があります。資金繰りをしたり、融資を受ける場合には、運転資金の種類を把握しておくと役立ちます。
そこで今回は、運転資金の4つの種類と運転資金が不足する理由について解説します。
運転資金とは?
運転資金とは、会社の運営上必要な費用をまかなうための資金です。
会社は、商品やサービスを販売して利益を得ていますが、運転資金は利益を上げるために必要となる資金と言い換えることもできます。
運転資金が不足すると、従業員に給与が払えない、仕入れ代や固定費が払えないといった状況になり、最悪の場合は会社が倒産する可能性もあります。
最悪の事態を回避するためには、運転資金の種類と内容を理解しておくことが大切です。
運転資金の種類
運転資金にはいくつか種類がありますが、ここでは主な4種類について説明します。
経常運転資金
経常運転資金とは、会社が今の経営を運営、維持していくために必要な運転資金です。
通常、運転資金というと、経常運転資金のことを指すケースが多いです。
経常運転資金が必要になる理由は、日本では掛取引を採用している会社が多いためです。
掛取引とは商品や材料の販売や購入のタイミングで支払いが行われず、代金の支払いを後で行う仕組みのことです。
例えば、掛取引で4/1に顧客に対して100万円の商品を売却し、4/25に代金が入金される予定になっているとします。
この場合、4/1に100万円の売上が計上されますが、4/1時点では商品の代金は入金されていません。
つまり、帳簿上では売上が計上されていても、売上代金は実際には入金されていない状態になるということです。
売上だけではなく、仕入も同じように掛取引が行われることが一般的なので、同様のことが起こります。
例えば3/25に50万円の材料を購入し、4/15日に材料代を支払うとします。掛取引ではなかった場合、100万円の売上代金があれば50万円の材料代を支払うことは可能です。ですが、このケースのように入金日よりも支払日のほうが早かった場合、材料代を支払うための資金が足りなくなる可能性があります。
支払日を4/25に変更できれば問題ありませんが、入金と支払いのタイミングのずれは2ヶ月~3ヶ月程度の差が出てしまうこともあります。
掛取引によるタイムラグに対応するために、経常運転資金が必要になるというわけです。
増加運転資金
増加運転資金とは、会社の利益が増加しているときに必要な運転資金です。
例えば、普段500個販売している商品が、次の月に2,000個販売する予定になったとします。
商品がたくさん売れれば利益は上がりますが、その分材料費などの経費も増えることになります。
掛取引の場合、売掛金が入金される前に買掛金の支払いをしなければならなくなるため、運転資金が不足していると、最悪の場合は会社が倒産するおそれもあります。
これが、黒字倒産の仕組みなのです。
黒字倒産を回避するためには、会社が伸びている状態であるほど十分な運転資金が必要になることを知っておくことが大事です。
ただし、業績が良い状態で必要になる資金なので、金融機関などの融資を受けられる可能性は高いでしょう。
減少運転資金
減少運転資金とは、会社の利益が減少しているときに必要になる運転資金です。
売上が減少すれば、仕入などの経費も減少しますが、利益も減少します。
ですが、経費のなかには売上に関係なく、毎月発生する固定費(家賃、従業員の給与、水道光熱費など)があり、利益が減少しても固定費の支払いは減少しません。
一時的な売上の減少であれば、すぐに経営を立て直すことも不可能ではありませんが、運転資金が十分ではなかった場合、売上が回復する前に資金がショートしてしまい、会社が倒産してしまう可能性が高くなります。
売上減少による資金ショートを防ぐためには、売上が減少する時期をあらかじめ把握しておき、減少運転資金を確保しておく必要があるでしょう。
季節運転資金
季節運転資金とは、特定の時期の経費の増加、売上の減少などに備えるための運転資金です。
例えば、ボーナスの支払いで人件費が増加したときや、閑散期で減少した売上を補填するために必要な資金を指します。
イレギュラーな状況による売上減少は予測しにくいですが、ボーナス月の人件費の増加や閑散期の売上額の減少はおおよその予測は可能です。
減少運転資金と同様に、その時期に必要となる運転資金を確保しておくようにしましょう。
運転資金が不足する理由は?
運転資金が不足する主な理由は売上の減少ですが、上記で説明したように売上が上がることで資金が不足するケースもあります。
また、掛取引の場合、帳簿上の数字とキャッシュフローに差異が生じる期間があります。
帳簿上は支払いに対応できる状態になっていたとしても、実際には現金がないという状況が起こるため、キャッシュフローを把握していなかったことが原因で運転資金が不足するケースもあります。
経営を安定させるためには、預金通帳の残高だけではなく、キャッシュフローや資金繰り予測についても常に把握しておくことが大事です。
運転資金不足の解消に不動産担保ローンを活用
不動産担保ローンとは、建物や土地などの不動産を担保に融資が受けられる金融商品です。
不動産担保ローンは、公的融資や銀行融資と比較すると比較的審査に通りやすく、提供する担保の価値によっては高額融資も可能です。
また、借入期間を長く設定できるので、月々の返済負担を軽くすることができます。
運転資金不足の解消には、不動産担保ローンを活用するのも良いでしょう。
最後に
売上の減少や予測不能なトラブルによって資金不足に陥ることがあります。安定した会社経営を行うためには、不測の事態に備えて、十分な運転資金を確保しておく必要があります。
今回紹介したように、運転資金にはいくつかの種類があります。どんなケースでどのような運転資金が必要になるかを把握しておくことで、資金不足時への対応が可能になります。
運転資金の調達は、公的融資や銀行融資などが利用できますが、不動産担保ローンを活用する方法もあります。
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