不動産担保ローン関連コラム

不動産担保ローンがあると個人再生できない?

今現在、借入の返済が困難になっている方や個人再生中の方の中には、不動産担保ローンがある人でも個人再生をすることは可能なのか、個人再生中でも不動産担保ローンは利用できるのかなど、不動産担保ローンと個人再生の関係について知りたいという方もいらっしゃるのではないでしょうか。そこでこの記事では、不動産担保ローンと個人再生についてわかりやすく解説します。

個人再生とは?

不動産担保ローンと個人再生の関係を説明する前に、個人再生とは何かについて簡単にご紹介します。

個人再生とは、債務整理の方法の1つです。債務整理とは、借金の減額や返済を免除できる制度のことで、借金が原因でひっ迫している生活を立て直すことを可能にする法的手続きのことです。個人再生は、裁判所に再生計画の認可決定を受けることで、借金を大幅に減額してもらうことができます。残った借金を3年ほどの期間以内に返済することで、減額された分の借金の返済義務がなくなります。

債務整理には、個人再生の他に任意整理、自己破産などの方法があります。個人再生と自己破産は、裁判所に申し立てて手続きを行います。自己破産は、裁判所に借金の返済が不可能であると認めてもらい、借金の返済をしなくても良いという決定をもらう手続きです。自己破産はすべての借金の返済は免責されますが、所有している家や車などなどを処分して債権者に配当しなければなりません。

自己破産と個人再生の大きな違いは、借金の返済義務の有無です。自己破産の場合は、所有している財産を処分し、債権者に配当することですべての借金を返済する必要がなくなりますが、個人再生の場合は借金の額を大幅に減額することは可能ですが、残った金額はおおむね3年以内に返済しなければなりません。
また、自己破産の場合は家や車など財産はすべて没収されてしまいますが、個人再生の場合は自宅を維持できる可能性があります。ただし、不動産担保ローンを利用している場合は、個人再生の住宅ローン特則が使えませんので注意が必要です。

不動産担保ローンがあると個人再生はできない?

住宅をローンで購入する場合、購入した家には抵当権が設定されています。
抵当権とは、万が一返済が不可能になってしまった場合に、家を売却して残債を返済してもらえる権利のことです。個人再生のような債務整理を行う場合、複数の債権者がいるケースが多くありますが、抵当権を持っている住宅ローンの会社は家を売却して借金を返済してもらうことができるので、他の債権者よりも有利になる可能性が高くなります。

このような不公平をなくす目的と、自宅は手放さないほうが生活を立て直しやすいという観点から、住宅ローンには住宅資金特別条項(住宅ローン特則)という制度が設けられています。住宅賃金特別条項(住宅ローン特則)とは、住宅ローンは従来通りまたはリスケして返済を続ければ、家を手放さずに住宅ローン以外の借金を減額できるというものです。
しかし、住んでいる家を担保に不動産担保ローンを利用していた場合は、住宅ローン特則は適用されないため、不動産担保ローンを利用していると再生は難しくなるといえます。住宅を手放さずに債務整理をしたい場合は、不動産担保ローンで利用しているローン会社以外の債権者と交渉して、利息分の減額などを行う任意整理を検討する必要があります。

個人再生中に不動産担保ローンで融資を受けることは可能?

個人再生中は、原則として新たな借り入れを行うことはかなり難しいといえます。理由は、個人再生の手続きには多くの書類を準備する必要があり、法律の知識がない人がすべての手続きを行うのはかなり厳しいためです。
個人再生の手続きを行う場合は、弁護士や司法書士に依頼することが一般的です。個人再生の手続きを弁護士や司法書士に依頼する場合、契約で新たな融資を受けることを禁止していることが多いので、個人再生中に不動産担保ローンを利用して融資を受けることはほぼ不可能だということになります。
ただし、和解成立後であれば、契約で新たな融資を受けることが禁止されていない場合は融資を受けることは可能です。

個人再生をして借金の返済が終われば不動産担保ローンを利用できる?

個人再生をしても借金の返済が終われば、不動産担保ローンを利用することは可能です。ただし、個人再生のような債務整理を行った場合は、CICやJICCといった信用情報機関に個人再生をした情報が掲載されてしまうため、ローンの審査に通らない可能性が高くなります。ですが、信用情報機関に情報が掲載されている期間は5年間なので、5年を経過していれば審査に通る可能性もあるでしょう。
また、5年経過していない場合でも、規模があまり大きくないローン会社で価値が認められる不動産を所有している場合は審査に通る可能性があるため、中小規模のローン会社に相談してみるのも1つの方法です。とはいえ、審査に通過した場合であっても条件が悪くなる可能性が高いので、融資条件をしっかり検討した上で利用することが大切です。

最後に

個人再生は家を処分せずに借金を減額することが可能な債務整理の方法ですが、個人再生を行うためにはさまざまな条件をクリアすることが必要です。また、不動産担保ローンを利用している場合は、住宅ローン特則が適用されないため、個人再生を行うことがかなり難しくなります。家を残した状態で債務整理を行う方法は個人再生だけではありませんので、生活を立て直すために借金を減額したい、または返済を続けることが困難になってしまった場合は、弁護士または司法書士など法律の専門家に相談することをおすすめします。

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