不動産を担保に融資を受ける場合、提供する不動産の種類によって担保価値が変わります。
不動産には、一戸建て、マンション、アパートなどよく聞く住宅建物のほかに、テラスハウスと呼ばれるものがあります。
この記事では、テラスハウスの担保価値はどうやって判断するのか、不動産ローン契約をする際の注意点を解説します。
テラスハウスとは
テラスハウスとは、連棟式住宅のことです。
各住戸に専用の庭とテラスがあることから、テラスハウスと名付けられたと言われています。
連棟式住宅とは2戸以上の建物が一体となっている住宅で、屋根や壁が隣の家(建物)とつながっているという特徴があります。
テラスハウスは、安い価格で購入できるというメリットがありますが、売却が難しいというデメリットもあります。
アパートとの違い
アパートとは、建物の内部を区切り、それぞれが独立した居住用のスペースとして使われている集合住宅です。
アパートは、1つの建物の内部が区切られていますが、それ以外は独立した造りになっている点に違いがあります。
マンションとの違い
マンションもアパートと同様に建物の内部を区切り、それぞれが独立した居住用スペースとして使われている集合住宅です。
アパートは2階建てくらいの建物が多く、マンションの場合は3階建て以上の建物が多いという違いがあります。
テラスハウスは屋根や壁が隣の家とつながっていても住戸自体は独立していますが、アパートやマンションは一つの同じ建物の内部が区切られています。
一戸建てとの違い
一戸建て住宅は、隣接する建物がある場合でも、建物自体はそれぞれが完全に独立しています。
住戸が独立しているという点はテラスハウスも同じですが、屋根や壁が隣の家とつながっている点が一戸建てとの大きな違いです。
メゾネットとの違い
メゾネットとは、アパートやマンションなどの集合住宅で使われている間取りで、1戸の住戸が2階以上で構成されているタイプの住宅です。
玄関部分が共用になっているところもありますが、住戸それぞれが独立した玄関になっているところもあります。
メゾネットは複数階の部屋を1戸の住戸として利用できますが、アパートやマンションと同様に集合住宅です。
テラスハウスも複数階で構成されており、隣の建物とつながっていますが、住戸はそれぞれが独立しているため、集合住宅ではありません。
テラスハウスの担保評価が低い理由
テラスハウスには、以下の2つのパターンがあります。
・土地と建物の両方が所有者ごとに分かれている
・建物は所有者ごとに分かれているが、土地は敷地内の住人で共有している
いずれの場合も、隣の家と屋根や壁がつながっているため、通常の一戸建て住宅よりも売却が難しく、担保評価は低くなってしまいます。
再建築が難しい
テラスハウスの担保評価が低くなる原因の一つとして、所有者だけの判断で再建築ができない点も挙げられます。
土地を共有している場合はもちろんですが、土地と建物を所有している場合でも、隣の建物と屋根や壁がつながっているため、隣の家の所有者の承諾が必要です。
他の住人の承諾を得る、再建築後も自分の家と隣の家も建築基準法を満たすことができるなどの条件がクリアできれば、再建築も不可能ではないものの、かなり難しいと言わざるを得ないでしょう。
買い手が見つかりにくい
再建築が難しいという点は、買い手が見つかりにくくなる原因の一つになります。
新築であれば購入してそのまま住むこともできますが、建物が古くなっている場合、再建築ができないとなると買い手を見つけるのは困難です。テラスハウスの購入を希望する人はそもそも少ないこと、外壁などを自由に変えることができないなど、リフォームの自由度が低いことも買い手が少ない原因になっています。
テラスハウスは2戸以上の建物がつながっていますが、多い場合は4~5戸の物件もあります。
住戸の数が増えるほど住民同士のトラブルになりやすいこともあり、つながっている戸数が多い物件ほどい買い手がつきにくいと言われています。
建築基準法を満たしていない物件が多い
建築基準法とは、国民の生命、健康、財産を保護するために、建築物の敷地・設備・構造・用途についてその最低の基準を定めた法律です。
テラスハウスのような連棟式住宅は長屋に分類されますが、建築基準法は改正が繰り返されているため、建築当時は問題がなかった場合でも現在の建築基準法の基準を満たしていない物件も数多くあります。
特に隣の家との切り離しをする場合、長屋であれば建築基準法を満たしていても、切り離しによって独立させてしまうと建築基準法を満たさなくなってしまう可能性もあります。
隣の家との関係を切り離すことが難しいテラスハウスは、売却が難しく、担保価値が下がってしまうことを認識しておく必要があります。
テラスハウスは担保にできない?
不動産会社のなかには、テラスハウスの買取を行っているところもあるため、テラスハウスは必ずしも担保にできないということはありません。
ですが、売却が難しい物件であることには変わりないので、融資可能額はかなり低くなってしまうので注意が必要です。
最後に
長屋タイプのテラスハウスは、隣の家の所有者の承諾がなければ再建築や切り離しが難しいため、売却が難しい物件です。そのため、テラスハウスを担保に融資を検討している場合は、融資可能額がかなり低くなるだけではなく、融資そのものを断られてしまう可能性もあるため注意が必要です。
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