生前贈与が2,500万円まで非課税になる「相続時精算課税制度」とは?

最大2,500万円まで贈与税がかからない「相続時精算課税制度」は、まとまった資金の生前贈与を考えている方にとって、非常に魅力的な選択肢です。

とはいえ、「贈与できるほどの現金が手元にない」「不動産を生前贈与すると住む家がなくなってしまう」といったお悩みを抱えている方もいるでしょう。

この記事では、新しくなった「相続時精算課税制度」の仕組みやメリット・注意点を分かりやすく解説します。

また、持ち家を活用して贈与資金を確保する方法についても紹介するので、ぜひ参考にしてください。

目次

生前贈与の非課税枠はいくら?

「暦年課税」と呼ばれる通常の課税方法を適用した場合、生前贈与の基本的な非課税枠は、年110万円です。

1月1日〜12月31日までの1年間に、1人の受贈者が受け取った贈与額の合計が110万円以下であれば、贈与税はかからず、申告も不要です

出典:国税庁「No.4402 贈与税がかかる場合

新しくなった相続時精算課税制度とは?

相続時精算課税制度とは、「生前に贈与した財産にかかる税金を、相続の時にまとめて精算する」という仕組みの制度です。

原則として60歳以上の父母・祖父母などから、18歳以上の子・孫に対し、財産が贈与された場合にのみ選択できます。

相続時精算課税制度を使用するには、贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日までの間に届け出なければなりません。

この制度を利用すれば、贈与税の特別控除額2,500万円が適用できるようになり、控除額内であれば贈与税はかかりません。

また、2024年の制度改正により、新たに「年110万円の基礎控除」が創設されました。

基礎控除枠は毎年リセットされるため、2,500万円の非課税枠を使い切ってしまった場合でも、少額贈与がしやすくなりました。

相続時精算課税制度を利用するメリット

相続時精算課税制度を利用することで、以下の3つのメリットが得られます。

累計2,500万円まで贈与税がかからない

相続時精算課税制度を利用すれば、累計2,500万円まで贈与税がかかりません。

1度の贈与で2500万円の枠を使い切らなくても、余った分は繰越ができるため、数年にわたって少しずつ贈与したい場合でも柔軟に活用できるのが魅力です。

年110万円までの基礎控除枠も使える

2024年の制度改正により、年110万円までの基礎控除枠も利用できるようになりました。

これにより、少額の贈与であれば2,500万円の枠を気にせず、毎年実施できるようになったのがメリットです。

相続トラブルを予防できる

生前のうちに遺産を子・孫に移しておくことで、自分が亡くなった後の相続トラブルを未然に防ぐ効果も期待できます。

「誰に・いつ・いくら」渡すかをコントロールできるため、遺された家族が遺産分割協議で揉めるリスクを軽減できるでしょう。

相続時精算課税制度を利用する際の注意点

相続時精算課税制度は非常に魅力的な制度ですが、利用するにあたって理解しておくべき注意点もいくつかあります。

贈与税はかからないが、相続税はかかる

相続時精算課税制度は、あくまでも「税金の精算を相続時まで先送りにする」という制度です。

特別控除2,500万円の範囲内であれば贈与税はかかりませんが、その分の財産は相続のタイミングに「贈与時の評価額」で相続財産に合算され、相続税の課税対象になります。

暦年課税制度を使用できなくなる

相続時精算課税制度を選択すると、暦年課税には戻れません。

後から「やっぱり少額贈与だけしたい」と思っても切り替えられないため、慎重な選択が必要です。

不動産を贈与するとコストが大きくなる

不動産を贈与する場合、相続による登記手続きと比べ、生前贈与による手続きでは登録免許税・不動産取得税の負担が大きくなります。

【相続と贈与での税率の違い】

税金の種類相続の場合生前贈与の場合
登録免許税税率:0.4%税率:2.0%
不動産取得税かからないかかる (税率:3.0%※)

出典:国税庁「No.7191 登録免許税の税額表

出典:総務省「地方税制度

申告手続きが煩雑

相続税精算課税制度を利用するためには、税務署への申告手続きが必要です。

また、基礎控除枠110万円を超える贈与があった年には、毎回贈与税の申告が求められるため、面倒に感じる方もいるでしょう。

小規模住宅地等の特例が使えなくなる

「小規模住宅地等の特例」とは、亡くなった人が居住・事業で使用していた宅地の相続税評価額を最大80%減額する制度です。

この特例は、相続または遺贈で取得した宅地にのみ適用されるため、「相続時精算課税制度」を選択し、生前贈与した土地には適用できません。

これにより、相続税の負担が大きくなる可能性があります。

相続資金の確保には不動産担保ローンがおすすめ

相続時精算課税制度の2500万円の非課税枠と年110万円の基礎控除枠を計画的に使用するなら、評価額が変動しない「現金」での贈与が有利です。

また、自宅を子や孫に残す場合、生前贈与ではなく、相続させたほうが、税負担も軽くなります。

生前贈与の資金は、不動産担保ローンで確保してみてはいかがでしょうか。

自宅を担保にまとまった資金を借り入れできる不動産担保ローンなら、借り入れ資金の使い道は限定されないため、子・孫への支援にも問題なく活用できます。

返済が滞らない限り、自宅を手放す必要もなく、ご自身が亡くなった後は相続させることも可能です。

協和信用保証株式会社では、不動産担保ローンに特化した貸付を行っております。

お客様の状況に合わせた柔軟な審査を提供しておりますので、お気軽にご相談ください。

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