不動産担保ローンでは、「債務者」「債権者」という表現を使用します。前者が「お金を借りる人」、後者が「お金を貸す人」ですが、どうしても覚えられないという方もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、債務者と債権者の意味、違いについて簡単に覚えられる方法を紹介します。
「債権」と「債務」の違い
「債権」と「債務」は、対になっている言葉です。
不動産担保ローンを利用する際は必ず出てくる言葉なので、正しく理解しておきましょう。
債権とは
「債権」とは、ある者が特定の者に対して一定の行為を要求することです。
不動産担保ローンにおける債権は、金銭の支払(返済)を求める権利、返済できない場合は、担保となる不動産の売却代金を返済に充てる権利のことを指しています。
債務とは
「債務」とは、特定の人に特定の行為や給付を提供しなくてはならない義務のことです。
不動産担保ローンにおける債務は、金銭の支払い(返済)と返済が難しい場合は担保提供した不動産を提供しなければならない義務を指します。
不動産担保ローンにおける「債権者」と「債務者」の覚え方
不動産担保ローンにおける「債権者」とは、お金を貸した金融機関やローン会社のことです。
「債務者」とは、お金を借りた人のことです。
債権者と債務者の区別は、「権利」と「義務」から意味を考えると覚えやすくなります。
お金を返してもらう「権利」を持つ人が債権者で、お金を返す「義務」がある人が債務者です。
不動産担保ローンで「債権者」に認められた権利
不動産担保ローンでは、債権者は債務者に対して契約通りのお金の融資を行い、債務者は債権者に対して契約通り返済を行うという契約を結んでいます。そのため、決められた期日までに返済ができなかった場合は、契約通りの約束が果たされていないことになります。
このような状況のことを「債務不履行」と言います。
債務不履行には、「債務不能」、「履行遅滞」、「不完全履行」の3種類があります。
債務不能とは、契約した事柄を実行するのが不可能な状態になってしまったケースの債務不履行です。
例えば、2,000万円の融資を受けた後で収入源を失い、お金が入る目途が一切なくなってしまった場合は、返済を続けることが不可能になります。このような状況になってしまった場合は債務不能になります。
履行遅滞とは、契約した期日までに義務が果たされないことを言います。
例えば、20日までに返済しなければならないのに、なんらかの理由で返済が21日になってしまった場合は履行遅滞になります。
不完全履行とは、契約の一部は履行されたものの、すべてが完全に履行されていないものです。
例えば、オーダーメイドで商品を発注し、商品は納品されたが、その商品が注文通りになっていなかった場合は不完全履行ということになります。
不動産担保ローンの契約では、「債務不能」「債務遅滞」による債務不履行が起こる可能性があります。
債務不履行が起きた場合、債権者には以下のような権利が認められています。
損害賠償の請求
債務者の債務不履行によって損害を被った場合、債権者は債務者に対して損害賠償の請求を行うことができます。
契約通りに債務が履行されていれば得られた利益(逸失利益)も、損害賠償の対象になる場合があります。
契約の解除を申し出る
契約は、双方の同意のもとで行われ、契約の締結後は法的な拘束力が発生するため、契約を解除するためには相手の同意が必要です。
しかし、債務不履行が起きた場合は、相手の同意なしで契約の解除を申し出ることができます。
ただし、一般的には「催告」という形で相手に債務を履行するよう求め、催告したにもかかわらず債務が履行されない場合に、解除が可能となります。
強制執行する
債権者側の「催告」に対して、債務者が応じない場合は、強制執行を行うことができます。
強制執行とは、裁判所に申し立てを行い、法律上の手続きを経て強制的に残債の回収を行うことです。
強制執行では、債務者の財産を差し押さえるという形で強制的に未回収のお金を回収することができます。
ただし、差し押さえられる財産は債権者側で見つけなければならず、強制執行命令が出たとしても全額回収が保証されているわけではありません。
最後に
不動産担保ローンにおける債権者とは、お金を融資する金融機関やローン会社のことで、債務者とはローンを利用してお金を借りた人のことです。
不動産担保ローンを利用するためには、お金を融資する会社とお金を借りる人の間で契約が締結されています。
そのため、契約内容に反した場合は債務不履行となり、損害賠償請求や強制執行によって残債を回収される可能性があります。
融資を受ける際は、借りられる金額だけに意識を向けるのではなく、無理のない返済計画を立てることも大切です。
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