


「持ち家だけ」を相続するケースでは、相続人同士の意見が食い違い、トラブルに発展することも少なくありません。
対応を誤ると、感情的な対立が起きてしまい、遺産分割や名義変更といった手続きがスムーズに進まなくなるリスクもあります。
この記事では、持ち家を相続する際に知っておくべき注意点や、相続税の負担を軽減する方法などについて、わかりやすく解説します。
親の相続財産が「持ち家だけ」の場合、相続人の間で深刻なトラブルに発展するケースもあります。
その原因として考えられるのは、主に以下の4つです。
家のような不動産は、現金のように公平に分けるのが難しいです。
持ち家は1つしか存在しないため、相続人が複数いる場合には「誰が相続するのか」「他の相続人にはどう補填するのか」といった点で話し合いが必要になります。
代償分割として現金で差額を支払う方法もありますが、相続人の間で納得が得られなければトラブルの火種になります。
不動産の価値は、立地や築年数、周辺環境によって大きく異なります。
また、査定を依頼する不動産会社によって評価額がばらつくこともあり、「本当にその価格が妥当なのか?」といった疑問が生じやすいものです。
相続人の一部が評価額に不満を持つと、遺産分割が進まなくなることもあるでしょう。
親と同居していた兄弟と、離れて暮らしていた兄弟とでは、実家に対する思い入れや貢献意識に差が生じやすいです。
例えば、「同居し、介護を続けてきた自分が家を相続すべきだ」と考える兄弟と、「家は売却して、全員で平等に分けるべきだ」と主張する兄弟がいると、意見が対立し、感情的な争いに発展する可能性があります。
家を相続すると、相続税の支払いに加えて、名義変更に伴う登記費用や固定資産税、修繕費など、さまざまな維持管理コストがかかります。
特に、相続後に空き家となる場合は、実際には誰も使っていないにもかかわらず、費用だけが発生し続けることになるため、注意が必要です。
その結果、「誰がその費用を負担をするのか」をめぐって、相続人同士で対立が生じるケースも少なくありません。
持ち家を相続した場合は、いくつかの重要な手続きをスムーズに済ませる必要があります。
相続後に慌てることがないよう、あらかじめ注意すべきポイントを押さえておきましょう。
不動産の相続では、法務局で名義変更を行う「相続登記」が必要です。
2024年からは相続登記が義務化されたため、正当な理由なく3年以内に手続きを行わない場合は、10万円以下の過料が科される可能性があります。
相続人が複数いる場合、誰が不動産を取得するのかを明確にするために「遺産分割協議書」を作成する必要があります。
これは、相続人全員の合意に基づいて作成される書面で、相続登記を行う際にも必要です。
後々のトラブルを防ぐためにも、きちんと文書に残し、公正な内容で合意を図ることが求められます。
相続した家を「そのまま持ち続けるか」「売却して現金化するか」は、大きな判断ポイントになります。
相続人それぞれのライフプランや、経済的事情をふまえて決定しましょう。
特に、売却する場合は相続人全員の同意が必要になるため、早めに話し合いを進めることが大切です。
持ち家を相続する場合、相続税のほかにも、毎年の固定資産税や修繕費、管理費などの維持費がかかります。
空き家となった場合でも費用は発生するため、前もってどのぐらいのコストがかかるのかを見積もり、資金を確保しておくことが大切です。
持ち家を相続する際には、以下のような相続税の特例を適用させることで、税額の負担を軽減することができます。
「小規模宅地等の特例」は、被相続人が住んでいた自宅の土地を相続する際に、土地の評価額を最大80%まで減額できる制度です。
一定の条件を満たすことで相続税の大幅な減額が可能になります。
被相続人が住んでいた自宅の土地を、配偶者や同居していた親族、または「家なき子(持ち家がなく賃貸などに住んでいた子)」が相続する場合に適用できる制度です。
配偶者が持ち家を相続する場合、「配偶者の税額軽減」により、1億6,000万円または法定相続分までの財産には相続税がかかりません。
さらに「配偶者居住権」を活用すれば、自宅に住み続ける権利を得ながら財産評価額を抑えることができます。
相続した持ち家を手放さずに活用したい場合は、不動産担保ローンの利用がおすすめです。
資金使途に制限のない不動産担保ローンは、相続税の納税資金としてはもちろん、他の相続人への代償分割や遺留分の支払いにも活用できます。
また、他の相続人の同意を得ることなく、共有持分だけを担保にして資金を調達することも可能です。
協和信用保証株式会社では、不動産担保ローンを専門的に取り扱っております。
相続税の支払いを目的とした融資や、共有持分を担保にした融資にも対応しておりますので、お気軽にご相談ください。