


相続税の納付期限は被相続人が亡くなった翌日から10ヶ月以内と定められており、現金一括での支払いが原則です。
しかし、不動産や株式など、現金化しにくい資産を相続した場合、「相続税が払えない」という状況に陥るケースは少なくありません。
期限を過ぎてしまうと延滞税や加算税が課されるなど、負担がさらに大きくなる可能性があります。
この記事では、相続税を期限内に払えないとどうなるのか、相続税の支払いができないときの対処法を紹介します。
相続税は、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10ヶ月以内に申告と納付を行う必要があります。
例えば、被相続人が1月15日に死亡した場合、相続税の申告・納付期限は11月15日です。
相続税の納付は原則現金一括で行う決まりがあり、期限を過ぎると延滞税や加算税といったペナルティが自動的に課されるため、早めの準備が重要です。
特に、相続財産が不動産や未上場株式など換金しにくい場合は、早めに資金計画を立てる必要があります。
相続税を期限までに納付できない場合、税務署から督促状が送られ、最終的には財産の差し押さえまで進む可能性があります。
特に延滞税は年利7.3%と非常に高く、支払いが遅れるほど負担が増します。
現金化が難しい資産を相続する場合、相続税の納税資金が足りず、払えないという状況が起こりやすいため注意が必要です。
続いては、相続税が払えないとどうなるのか、具体的なリスクを紹介します。
相続税の納付期限までに申告や納付が確認できないと、税務署はまず納付を促す督促状を送付します。
督促状には指定された期限が記載され、その日までに支払わない場合、さらに強制的な徴収手続きが始まります。
督促状が届いた場合、単なる通知と考えず、早急に対応することが求められます。
延滞税や無申告加算税が課され、結果的に本来の税額より多く支払うことになります。
延滞税は納期限の翌日から2ヶ月までは年7.3%、それ以降は原則として年14.6%(または「延滞税特例基準割合+7.3パーセント」のいずれか低い割合)に設定されています。
加えて、期限内申告をしなかった場合は原則15%(場合によっては20%)の無申告加算税がかかるため、放置は大きな損失につながります。
督促状にも応じず、延滞税も支払わないまま放置すると、預貯金や不動産、株式などの財産が差し押さえられます。
差し押さえ後は公売にかけられ、売却代金から強制的に税金が回収されるため、相続財産が大きく目減りします。
生活に不可欠な資産が対象となる場合もあるため、資金が足りない場合は延納や物納、金融機関からの借り入れなど合法的な対処法を早期に検討することが大切です。
続いては、相続税が高額で払えないときの代表的な対処法を5つ紹介します。
相続税は原則一括納付ですが、一定の要件を満たせば「延納」や「物納」により分割納付や現物納付が可能です。
延納は、最長20年まで分割して納めることができる制度で、担保の提供や納付計画の提出が必要です。
延納中は利子税がかかり、年率は原則1.6%程度とされています。
一方、物納は不動産や有価証券などの相続財産を現金の代わりに納付する制度です。
金融資産での延納が難しく、かつ物納財産が管理しやすい場合に限られ、国が換価しやすい資産であることや、相続人が所有権登記を完了していることなど厳しい条件が設けられています。
ただし、延納・物納制度の申請期限は納付期限と同じ10ヶ月以内です。期限を過ぎると利用できないため、早めの相談が不可欠です。
相続税を現金で用意できない場合、相続した不動産を売却して資金化する方法もあります。
ただし、不動産売却には仲介手数料や譲渡所得税がかかるため、売却代金をすべて相続税の納税資金に充てられるとは限りません。
事前に不動産会社や税理士に相談して総費用を把握しておくことが重要です。
また、不動産物件を短期間で売却するためには、価格を下げざるを得ないこともあります。
被相続人と同居していた自宅を売る場合は、代替住宅の確保や親族間での調整も必要になります。
納付期限が迫っている場合、金融機関からの借入れによって一時的に資金を確保する方法も有効です。
銀行や信用金庫では、相続税専用のローン商品を扱うケースが増えており、通常のカードローンより金利が低く、担保として相続財産の不動産を設定する場合が多いです。
ただし、借入金は当然返済義務があるため、返済計画を立てたうえで無理のない範囲で利用するようにしましょう。
将来の不動産売却や保有資産からの返済原資を見通したうえで申し込むことが重要です。
相続財産には預金や不動産などのプラス資産だけでなく、借金や保証債務といったマイナス資産も含まれます。
負債が資産を上回る場合や、相続税の納付が著しく困難な場合は「相続放棄」を検討することも選択肢の一つです。
相続放棄は家庭裁判所への申述が必要で、期限は相続開始を知った日から3ヶ月以内と短期間です。
放棄をすると預金や不動産などプラスの財産もすべて放棄することになるため、熟慮期間内に財産調査を行い、専門家に相談して判断することが重要です。
自宅や相続した土地などを担保に、不動産担保ローンを利用して資金を調達する方法もあります。
一般の無担保ローンに比べ金利が低く、融資額も大きく設定できる点が特徴です。
ノンバンクの不動産担保ローン専門会社の場合、申し込みから融資実行まで数日〜数週間と比較的スピーディーに資金を確保できる可能性があります。
ただし、返済が滞ると担保不動産が競売にかけられるリスクがあるため、慎重に返済計画を立てましょう。
賃貸物件を担保にし、賃料収入を返済に充てるなど、安定した資金源があればリスクを抑えながら利用することが可能です。
相続財産が不動産中心で現金が足りない場合、不動産担保ローンの利用が有効な資金調達手段になります。
自宅や相続した土地、賃貸物件などを担保にすることで、無担保ローンより低い金利でまとまった資金を借りられるのが特徴です。
協和信用保証株式会社では、不動産担保ローンに特化した融資を行っております。
お客様の状況に合わせた柔軟な審査を提供いたしますので、お気軽にご相談ください。


