


相続時精算課税制度を利用すれば、贈与時にまとまった資金を非課税または税負担を押さえて受け取ることが可能になります。
一方で、制度の仕組みや適用条件を正しく理解していないと、後になって思わぬ税負担が発生するため注意が必要です。
この記事では、相続時精算課税制度の基本的な仕組みやメリット・デメリット、利用時の注意点をわかりやすく解説します。
相続時精算課税制度とは、60歳以上の父母または祖父母から、18歳以上の子や孫に対して贈与を行った場合、贈与額の合計が2,500万円までは贈与税がかからず、将来の相続時に精算して課税される制度です。
暦年贈与とは異なり、贈与時点で非課税枠をまとめて活用できるため、大きな資金移動を早期に行いたい場合に有効な手段となるでしょう。
一方で、贈与額が将来の相続財産として加算される点には必要です。
相続時精算課税制度の代表的なメリットは、以下の通りです。
相続時精算課税制度では、1人の贈与者につき2,500万円までの贈与が非課税となります。
この非課税枠は、複数年にわたる贈与でも合算されるため、例えば500万円ずつ5年にわたって贈与しても、合計2,500万円までは贈与税がかかりません。
また、この非課税枠は贈与者ごとに設定されるため、父と母の両方から贈与を受ける場合は、合計5,000万円まで非課税で資産を受け取ることができます。
相続時精算課税制度を利用し、非課税枠の2,500万円を超えた贈与については、超過分に一律20%の贈与税が課税されます。
暦年課税では金額に応じて10%〜55%の累進課税が適用されるため、高額な贈与を行う場合、相続時精算課税制度の方が税負担は軽くなるでしょう。
将来の相続時に清算する必要はあるものの、贈与時の税負担を軽減できる点は大きなメリットです。
将来の相続税の計算においては、贈与された財産の価値は「贈与時点の時価」で評価されます。
つまり、贈与後に不動産などの資産価値が上昇したとしても、その増加分には相続税がかかりません。
将来の資産価値の上昇が見込まれる財産については、早めに贈与しておくことで、節税につながる可能性があります。
生前に資産を明確に分配しておくことで、相続時の遺産分割をめぐるトラブルを未然に防ぐことができます。
例えば、生前に自宅を長男に、金融資産を次男にといった形で分けておけば、相続発生時に「誰が何を受け取るか」で揉めるリスクが少なくなります。
被相続人の意思が明確に伝えられることで、親族間の信頼関係を保ちやすくなり、家族全体の安心にもつながるでしょう。
相続時精算課税制度には多くのメリットがありますが、見落とせないデメリットや注意点も存在します。
特に、他の優遇制度との併用制限や、相続時に再び課税が行われる点については、事前にしっかり理解しておく必要があります。
続いては、相続時精算課税制度の主な注意点について詳しく解説します。
相続時精算課税制度は、一旦選択すると、その贈与者からの贈与については、以後すべてこの制度が適用されます。
暦年贈与制度との併用はできなくなる点に注意が必要です。
小規模宅地等の特例とは、一定の条件を満たす自宅や事業用地について、相続税の課税評価額を最大80%まで減額できる制度です。
しかし、相続時精算課税制度によって生前贈与された不動産は、相続時には相続財産としてカウントされるものの、「相続によって取得した財産」とはみなされないため、この特例の対象外となってしまいます。
そのため、自宅や事業用地を将来引き継ぐことを想定している場合には、相続時精算課税制度を選択することで、かえって相続税が高くなる可能性があるでしょう。
土地や建物の評価額が高い場合には、税理士など専門家に相談し、慎重に選択することが重要です。
相続時精算課税制度では、贈与時に税金が発生しない代わりに、贈与された財産が相続財産として再度カウントされ、相続税の対象になります。
しかも、贈与時の時価で評価されるため、その時点での価値が相続税額に影響します。
仮に、相続時点では財産が減少していたとしても、贈与時の高い評価額がそのまま用いられるため、実際の資産状況に見合わない相続税が発生することも考えられるでしょう。
将来の相続財産が膨らむと、想定以上の相続税負担が生じるリスクもあるため注意が必要です。
相続時精算課税制度を利用した結果、将来的に高額な相続税や贈与税が発生することがあります。
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