不動産の価値を評価するときに利用される価格には、いくつか種類があり、「公示価格」もその一つです。
そこでこの記事では、公示価格とは何か、路線価や実勢価格との違いや公示価格の調べ方を解説します。
公示価格とは
公示価格は、一般の人が土地の取引や資産の評価を行うときに目安になる価格として、毎年国土交通省が発表している土地の価格のことです。
ただし、公示価格は標準地に選ばれた場所のみの価格が発表されるため、標準地に選ばれていないエリアの価格は公表されません。
公表されないエリアの場合は、国ではなく都道府県が調査を行い、標準地の価格を公表しています。
公示価格は、土地の取引を行う場合にどれくらいの価値があるかを判断する際に利用されるほか、不動産担保ローンのように所有している不動産を担保に融資を受ける場合、公示価格を調べておくと、いくらくらいの融資が受けられるのかを判断することができます。
公示価格と実勢価格の違い
実勢価格とは、実際に取引が行われる(行われた)価格です。
実勢価格は、売り手側と買い手側の合意によって決まる価格なので、公示価格よりも高くなる場合もあれば、条件によっては低くなることもあります。
例えば、所有している土地周辺に数年後に駅ができることが決まっていて、交通の便が良くなる可能性が高いといったケースの場合、実勢価格は公示価格より高くなる可能性が高いでしょう。一方で、所有する土地になかなか買い手がつかず、早く売却するために価格を下げて売却したというケースの場合、公示価格よりも実勢価格のほうが低くなることもあります。
不動産を担保に融資を申し込む場合、金融機関やローン会社は、担保提供される予定の不動産にどれくらいの価値があるのかを調べ、その金額をもとに融資の可否や融資限度額を決定します。
公示価格と実勢価格は、どちらも不動産の担保価値を算出するために用いられる土地の評価額です。
公示価格と実勢価格、どちらの評価額をもとに担保価値を算出するかは、金融機関やローン会社によって異なります。
実勢価格は、周辺の土地が実際に取引された際の価格のため、周辺の同じような土地の取引を調べたり、不動産会社に調査してもらうことで、おおよその価格については調べることができるでしょう。
公示価格と路線価の違い
路線価は、路線(道路)に面する標準的な宅地の1平方メートル当たりの価額を千円単位で表したもので、土地の評価などに用いられています。
国税庁が公表する路線価図に数字とアルファベットで表記されていて、数字が1平方メートル当たりの価額を表し、アルファベットは借地権割合を表しています。
例えば、路線価図に「150D」と書かれている場合、1平方メートル当たりの土地の価額は150×1,000円=150,000円となります。
公示価格と路線価の価格には違いがあり、路線価の目安は公示価格の8割程度と言われています。
そのため、路線価が150,000円の場合の公示価格はおよそ187,500円となるでしょう。
しかし、公示価格も実勢価格も路線価も、すべて土地の評価額を算出する方法の一つですが、土地の評価額=不動産担保ローンの融資限度額ではありません。
金融機関やローン会社では、一般的に土地の担保価値に担保掛目をかけて、融資限度額を決定しています。
担保掛目は、実際の評価額よりも低く設定されるのが一般的で、その比率は金融機関やローン会社によって異なります。
例えば、不動産評価額が2,000万円、担保掛目が7割だった場合の融資限度額は、1,400万円となります。
公示価格の調べ方、いつ発表される?
公示価格は、国土交通省のホームページ内にある「標準地・基準地検索システム」で調べることができます。
毎年1月1日に標準地に選ばれたエリアの公示価格は毎年3月頃に発表されます。
ただし、標準地に設定されていないエリアの場合は公示価格ではなく、地域と地目ごとに評価倍率表に定められています。
路線価図に調べたいエリアが表示されなかった場合は、路線価図・評価倍率表の左側にある「この都道府県の倍率表を見る」から確認することができます。
評価倍率表を使う場合は、固定資産税評価額に評価倍率表の倍率を掛けて算出します。
固定資産税評価額は、自治体から送付されてくる固定資産税の納付書に同封されている明細書で確認してください。
最後に
公示価格は、土地の取引を行う際に適正な価格の目安として国土交通省が発表している土地の価格です。
公示価格は、土地取引を行うときだけではなく、固定資産税の金額を決定する際の固定資産税評価額や土地を担保に融資を受ける際の不動産価値を評価する際などにも利用されています。
公示価格はだれでも簡単に調べることができるので、不動産を担保に融資を検討していてどれくらいの融資が受けられるのかを事前に調べたいといったときにも利用することができます。ただし、融資の可否や融資限度額は不動産の価値だけで決まるわけではないので注意も必要です。
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