不動産(建物)の種類のひとつとして「連棟形式(れんとうけいしき)」と呼ばれる建物があります。連棟形式の建物は遠くから見ると一つの建物のように見えますが、実際には複数の戸建てが連なった構造になっており、戸建てごとに所有者が違うというケースも少なくありません。今回は、このような連棟形式の建物を担保提供して不動産担保ローンを申し込むことができるのか否かについて解説していきたいと思います。また、あわせて連棟式建物の切り離しは可能か否かについてもお伝えしていきます。
連棟形式建物(不動産)とは
連棟形式とは、2戸以上の建物が連なった構造を持つ建物のことを言います。構造的に一つの屋根の下に複数の戸建てが建てられている、または隣同士で壁を共有しているなどの構造があります。
また、連棟形式の住宅には「テラスハウス」と呼ばれるものと「タウンハウス」と呼ばれるものの2種類があります。テラスハウスとは、「つながった一戸建て」のことを言い、連棟形式住宅、連棟住宅、連棟式建物などの呼び名がついています。テラスハウスの場には、戸建てごとに土地が分けられている(分筆されている)ため、法的にはいわゆる一棟の一戸建てと同じ扱いになります。
一方で、タウンハウスも「つながった一戸建て」のことを言います。しかし、テラスハウスと大きく異なる点は土地の所有についてです。タウンハウスでは戸建てごとに土地が分けられておらず(分筆されておらず)、マンションのように全体の土地を共有している状態になります。
連棟形式不動産を担保に融資を受けられる?
テラスハウス、タウンハウスなどの連棟形式住宅以外にも、商業施設などで連棟形式の建物は存在していますが、これらの連棟形式不動産を担保に設定して融資を申し込むことはできるのでしょうか?連棟形式不動産と一般的な不動産との違いについて解説していきます。
連棟形式不動産と一般的な不動産を比べた場合、大きく異なるのは構造上の問題です。連棟形式不動産は屋根や壁が隣同士の建物とつながっているため、その構造上、一つの戸建てだけを再建築するのが限りなく不可能に近い建物ということになります。自由な建て替えができない不動産であることは、不動産市場での市場価値が低くなってしまうため、連棟形式不動産を担保に取り扱ってくれる銀行はとても少ない状況にあるというのが事実です。新築で連棟式住宅を購入する場合の住宅ローンにおいても、通常の一戸建てよりも厳しい融資条件がつけられることがほとんどです。
連棟形式不動産を担保に不動産担保ローンを申し込みやすいのは、不動産担保ローン専門会社です。ただし、連棟形式不動産の市場価値の低さゆえに、融資条件に高い金利を設定しているところも少なくないため、不動産担保ローン専門会社を選ぶときには注意が必要です。
連棟形式建物の切り離しは可能なのか
その市場価値の低さから、銀行などの金融機関では担保として受け入れてもらいにくい連棟式建物ですが、他の戸建てとの切り離しは可能なのでしょうか?
連棟式建物の切り離しは可能ですが、ただし、多大な労力、資金が必要となる場合がほとんどです。
まず、連棟式建物における土地の問題からお話しますと、テラスハウスのように一戸ずつ土地が分けられていれば、その上に建つ建物を法的に切り離すことは容易となります。しかし、タウンハウスのように土地を共有している場合、切り離しの難易度は数段上がってしまいます。
続いて、連棟式建物の構造上の問題としては、屋根や壁が隣接する戸建てと共有しているため、隣接する所有者に「切り離し承諾書」をもらい、隣接する戸建てに問題が生じないように切り離し工事を行う必要があります。また、多くの場合連棟形式不動産では水道やガス、下水などの配管を共有しているため、これらの設備も切り離して独立させ、なおかつその他の戸建てにも問題が発生しない状態にしなければなりません。
このように、一般的な一棟だけの一戸建ての建て替えとは大きく異なり、隣接する戸建ての屋根の補強、壁の補強、各種パイプの付け替え、など数多くの出費が発生してしまうのです。
まとめ
今回は、連棟式建物を担保に不動産担保ローンは可能なのか否かについて解説してきました。また、連棟形式不動産の切り離しの難易度についてもご説明しました。一般的に連棟形式不動産の不動産市場における市場価値は低く見積もられがちですが、様々な要素を鑑みて柔軟に不動産評価をすることができるのが不動産担保ローン専門会社です。不動産担保ローン専門会社の中にも、連棟式建物の市場価値の低さから高い金利を融資条件としているケースもあるため、不動産担保ローン専門会社の選別には注意が必要です。連棟形式不動産を担保に設定する不動産担保ローンについてより詳細な情報をご覧になられたい場合は、こちらをご参照ください。
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