所有している不動産を担保にお金の借入をすることを不動産担保ローンといいます。一般的なローンとは違い、不動産を担保にするので、自分名義の不動産ではなく家族が所有している不動産でも担保にすることができるのか、また家族や親族を表している「一親等」「二親等」とはどこまでの関係をいうのかなど、よくわからないことも多いですよね。ここでは、家族名義の不動産でもローンを契約することができるのか、親等とは何か、どこまでの関係を表しているのかについてご紹介します。
親等とは
自分から見た家族や親戚の関係を表すときに、「一親等」「二親等」などという言葉を聞いたことがあるという人も多いでしょう。そもそも、親等とはどのような意味があるのでしょうか。
「親等」とは、家族や親戚の関係の近さを法的に表す単位のことをいいます。数字が小さければ小さいほど、自分との血縁関係が深く、逆に数字が多ければ多いほど血縁関係が遠い関係ということになります。
相続・忌引き休暇・保証人などでは、一親等まで、二親等までといった規定がある場合があります。いざというときに困らないように自分と親族の関係を覚えておくことと良いでしょう。
一親等・二親等という数え方ができるのは血縁のみ?
家族や親戚などの親族関係には、「血縁関係」と、血縁関係がある人が婚姻関係を結んだことで親戚になる「姻戚関係」があります。親等を数えるときは血縁関係だけではなく姻戚関係の親戚も同じ近さで数えられます。
たとえば、自分の兄弟・姉妹は自分から見て二親等の関係になりますが、自分の兄弟・姉妹の配偶者も二親等の関係になるということです。
一親等と二親等の違い
自分や配偶者の立場から見ると、一親等は「親」と「子」です。親は、自分の親だけではなく配偶者の親も含まれます。ここを基準に他の家族や親族との親等の関係を見てみましょう。
二親等は、「自分の兄弟姉妹(親の子)」、「祖父母(親の親)」、「孫(子の子)」です。親、子だけで表せる関係が一親等、親の子、親の親、子の子など二段階で言い表すことができる関係が二親等です。
一親等と二親等の違いは、自分との血縁や姻戚関係の近さの違いということです。
親等図を使ってわかりやすい親等関係を知る方法
親等は、よく図形で表されることがあります。自分の親や自分の子どもは上下方向に、自分の兄弟や配偶者は横方向で書かれている図形を見たことがある人も多いでしょう。
このような感じですね。
ここまでの関係を頭にいれておくと、「親の子」「親の親」のように関係が二段階になる場合が二親等、おじ・おばは「自分の親の親の子」と三段階になるので三親等、甥や姪の子どもは、「親の子の子の子」になるので四親等ということになります。このような簡単な親等図を見ながら考えると、親等関係がわかりやすくなりますね。
四親等は誰のことを指すのか
上の親等図を参考に、四親等は誰のことを指すのか調べてみましょう。
四親等に該当するのは「高祖父母(こうそふぼ)」「大伯父、大叔父(おおおじ)、大伯母、大叔母(おおおば)」、「いとこ」、「甥姪の子」です。
高祖父母は、祖父母の親の親のことをいいます。大伯父、大叔父(おおおじ)、大伯母、大叔母(おおおば)は、祖父母にとって兄弟・姉妹、親にとって、おじ・おばにあたる人のことをいいます。いとこは、親の兄弟・姉妹の子にあたる人のことをいいます。
高祖父母や大伯父・大叔父、大伯母・大叔母という言い方を普段使う機会はあまりありませんが、ローンなどの場合だけではなく四親等の親族までの関係を調べることもありますので、覚えておくと便利でしょう。
不動産担保ローンの家族名義は二親等までが多い
不動産を担保にローンをする場合、自分の名義ではなくても家族や親族の名義の不動産でも担保にすることができます。ただし、一般的には家族名義の不動産を担保にする場合は二親等までの親族の名義の不動産を担保にするケースが多いです。なぜなら二親等以上の関係になってしまうと、自分との関係が遠くなってしまうためです。
自分の名義以外の不動産を担保にすることは可能ですが、担保にするためには所有者の承諾が必要です。
トラブルがなく自分の名義以外の不動産を担保にする場合は、「親」「子」「祖父母」「兄弟・姉妹」の二親等以内の自分に近い身内の不動産を担保にすることをおすすめします。
親名義の不動産を担保にして不動産担保ローンを組む場合の注意点
親名義の不動産を担保にして不動産担保ローンを組む場合は、所有者である親の承諾が必要なのはもちろんですが、契約をする際に契約内容について判断する能力があるかという点も重要です。判断能力がないと認められた場合は契約することができません。
また親の不動産を担保に不動産担保ローンを組み、返済中に遺産を相続することになった場合、担保になっている不動産を相続する人が「抵当権(抵当権)」も引き継ぐことになります。万が一借り入れたお金が返済できなくなってしまったときは、債務者に代わり返済を引き継ぐか、債権者に競売にかけられ返済をしなくてはいけなくなる可能性もあります。
最後に
家族や親族の関係の近さを法的に表す単位として親等が使われています。言葉では一親等、二親等と耳にすることがあっても、対象となる人と自分は何親等なのかよくわからないという人も多いのではないでしょうか。家族名義の不動産でローンを組むときだけではなく、会社などの忌引き休暇を取るときも〇親等以内までという規定があります。これを機会に親等の数え方を覚えておくと、他の場面でも役立てることができますので参考にしてみてください。家族名義の不動産を担保にしてローンなどを組むことはできますが、所有者はあくまでも自分では家族のものであることを認識しておくことが大切です。あとでトラブルにならないよう、必ず所有者の承諾を得るようにしましょう。
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