


不動産担保ローンで返済不能となったら、担保となる不動産を失ってしまうという話を聞いたことがあるという方は多いのではないでしょうか。不動産担保ローンは、不動産を担保提供することで高額の融資を受けることができ、かつ返済期間も長く設定することができるのが魅力です。急に高額の資金が必要になったときに便利な金融商品ですが、万が一返済不能となった場合は大切な不動産を失う可能性があります。
「不動産担保ローンが返せないかもしれない」と不安を感じている方や、すでに返済が厳しくなっている方にとって、今後の流れや対処法を知っておくことは非常に重要です。
そこでこの記事では、不動産担保ローンで返済不能となったらどうなるのか、滞納から競売までの具体的なタイムラインや、不動産担保ローンが返せなくなったときの対処法について解説します。
不動産担保ローンとは、所有している不動産(家や土地)を「担保提供」することで融資が受けられる金融商品です。
不動産担保ローンにおける担保とは、債権者(お金を貸した人)が、債務者(お金を借りた人)が返済不能になってしまった場合のリスクを軽減するために預かる不動産のことです。
担保提供した不動産には、「抵当権」が設定されます。
抵当権とは、債務者から貸したお金を返済してもらうことができなくなってしまったときに、預かっていた担保を売却し、売却益から残債を返済してもらえる債権者の権利です。
そのため、不動産担保ローンで返済不能となった場合は、債務者は担保提供していた不動産を失う可能性があります。
不動産担保ローンが払えなくなってしまったときに、最もしてはいけないことはそのまま放置して無視をしてしまうことです。 無視をし続けると、今よりも状況が悪化してしまう可能性が高くなりますので絶対に避けましょう。 ローンの支払いが難しい場合は、まず債権者に相談をすることが大切です。 債権者に相談することで、支払い期限を延ばしてもらえることや、月々の返済額を減らしてもらえる可能性があります。
なお、「うっかり入金を忘れていた」「今月だけ収入が少なかった」といった突発的な理由であれば、すぐに入金すれば大きな問題にはならないケースがほとんどです。ただし、何度も滞納を繰り返すと、金融機関からの信用を失い、状況が一気に悪化する恐れがありますので注意が必要です。
不動産担保ローンの返済が不能となり、債権者に連絡をせずに無視し続けると、督促状が届くようになります。
督促状も無視し続けると、最終的には担保提供した不動産が競売にかけられ、失うことになります。
ここからは、不動産担保ローンが返済不能となった後の流れについて、具体的なタイムラインとともに説明します。
ローンの返済が滞り、債権者への連絡をせずにそのまま放置し続けると、債権者から督促状や催告状が届きます。 督促状も催告状も返済を促すための書面ですが、催告状には「このまま返済をせずに放置し続けた場合は、法的な措置を取ることを視野に入れている」という意味が含まれています。 どちらも無視をしてはいけない重要な書類ですが、催告状のほうがより緊急性が高くなります。
催告状は一般的に内容証明郵便で送付されるため、「届いていない」「見ていない」という言い訳は通用しません。この段階で債権者に連絡し、返済方法の相談をすることが最善の対応です。
また、滞納が数ヶ月続くと、信用情報機関に事故情報(いわゆるブラックリスト)として登録されます。信用情報に傷がつくと、今後のクレジットカードの契約や他のローンの利用にも影響が出る可能性があるため、この点も十分に認識しておきましょう。
滞納が3ヶ月〜6ヶ月程度続くと、「期限の利益喪失に関する通知」が届きます。
期限の利益とは、ローンの返済を分割で行える債務者の権利のことです。通常であれば、毎月決まった金額を返済していけばよいのですが、期限の利益を喪失すると、残りの借入金を一括で返済するよう求められます。
不動産担保ローンが返せない状態で、さらに一括返済を求められるため、この段階から事態は急速に深刻化します。
期限の利益を喪失した後も返済ができなければ、債権者は裁判所に競売の申立てを行います。裁判所から「競売開始決定通知書」が届きます。
これは、債権者が裁判所に申し立てを行い、競売が開始されることが決定したことを知らせる書面です。
この段階であれば、「任意売却」を選択することができます。
任意売却とは、債務者の意思で売却ができるもので、競売にかけられるよりも担保不動産を高く売却できる可能性があります。
競売開始決定通知が届いた後も何もしなければ、担保として預けていた不動産は競売にかけられ、売却されることになります。 ただし、ローン会社から督促状や催告状が届いてから、実際に売却されるまでには数ヶ月の期間があるので、担保提供した不動産を守るためにできるだけ早く対策を取ることが大切です。 また、担保提供した不動産の売却によって残債を返済する場合、債務者の意思で売却する「任意売却」と「競売」では、売却価格が変わります。 一般的に競売によって売却されてしまうと、市場価格の7割程度まで価格が下がってしまうことが多いです。任意売却であれば市場価格に近い金額での売却が期待できるため、不動産担保ローンが返せないと判断した時点で、できるだけ早く任意売却を検討することをおすすめします。
なお、不動産を売却しても残債を全額返済できないケースもあります。 このような場合は、不動産を失った上に残った残債も返済しなければならないという状況に陥ってしまう可能性があります。
不動産担保ローンが返せないと感じたら、早い段階で対処することが重要です。ここでは、具体的な対処法を紹介します。
まず検討したいのが、債権者へのリスケジュール(返済条件の変更)の相談です。リスケジュールとは、返済期間の延長や月々の返済額の減額など、返済条件を見直してもらうことを指します。
不動産担保ローンが返せない状態であっても、一時的な収入減少が原因であれば、リスケジュールに応じてもらえるケースがあります。返済が厳しいと感じた時点で、できるだけ早く債権者に連絡することが大切です。
返済の見通しが立たない場合は、競売にかけられる前に任意売却を検討しましょう。
任意売却は、債権者の同意を得たうえで、通常の不動産取引と同じように売却する方法です。競売と比較して市場価格に近い金額で売却できるため、残債を減らせる可能性が高くなります。また、引越し時期や条件についても交渉の余地があるのがメリットです。
リスケジュールや任意売却でも解決が難しい場合は、債務整理を検討することも選択肢の一つです。債務整理には主に以下の3つの方法があります。
任意整理は、弁護士や司法書士を通じて債権者と交渉し、将来の利息をカットしたり返済期間を見直したりする方法です。裁判所を通さずに行えるため、比較的手続きが簡便です。
個人再生は、裁判所の認可を受けて借金を大幅に減額し、原則3〜5年で返済する方法です。条件を満たせば、住宅ローン特則を利用して自宅を残すことも可能ですが、不動産担保ローンの場合は担保不動産に抵当権が設定されているため、自宅を残せるかどうかはケースバイケースとなります。
自己破産は、裁判所に申し立てを行い、借金の支払い義務を免除してもらう方法です。ただし、担保に入っている不動産は処分されることになります。また、一定期間は新たな借入やクレジットカードの利用ができなくなるなど、生活への影響も大きいため、最終手段として検討するのがよいでしょう。
いずれの方法も、弁護士や司法書士などの専門家に相談したうえで判断することをおすすめします。
返済不能にならないために注意することは、不動産担保ローンを申し込む際に、無理のない返済計画を立てることです。 ただし、不動産担保ローンの場合は返済期間を長く設定できるため、返済の負担が減らせるというメリットがある反面、返済の途中で状況が変化してしまい、計画通りの返済が難しくなってしまう可能性もあります。
具体的には、以下のポイントを押さえておくとよいでしょう。
月々の返済額は、手取り収入の25%〜30%以内に収めることが目安です。この範囲を超えると、収入が減少した際に返済が困難になるリスクが高まります。
また、返済期間を長く設定すると月々の返済額は抑えられますが、利息の総支払額は増えます。返済期間と月々の負担のバランスを慎重に検討し、無理のないプランを立てましょう。
余裕があるときには繰り上げ返済を検討することも有効です。繰り上げ返済を行うことで、元本が減り、将来的な利息負担を軽減することができます。
もし、返済が難しくなってしまった場合は、そのまま放置してしまうことは絶対に避け、難しいと判断した時点でできるだけ早く債権者に事情を話して相談することが大切です。 債権者に相談すれば、支払い期限を延ばしてもらえたり、返済金額を減額してもらえたりなど、返済方法を見直してもらうことが可能です。 無視をするとさらに最悪な事態に発展してしまうことになりますので、不動産担保ローンが返済不能となった場合は、できるだけ早く債権者に相談することが最悪の状態を回避する唯一の方法です。
不動産担保ローンが返せない状態を放置すると、督促→期限の利益喪失→競売という流れで大切な不動産を失うことになります。しかし、早い段階で債権者に相談したり、リスケジュールや任意売却を検討したりすることで、最悪の事態を回避できる可能性があります。
不動産担保ローンの返済不能は、決して珍しいことではありません。大切なのは、問題を放置せず、できるだけ早く行動を起こすことです。
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