「ずっと固定金利のフラット35」というテレビCMを見たことがありませんか。フラット35という言葉は聞いたことがあっても、実際のしくみはよくわからない、フラット35を利用するとどんなメリットがあるのかわからないという方も多いのではないでしょうか。
実は、2020年4月1日申し込み分からフラット35に関する制度の見直しが行われました。この記事ではフラット35とは何か、どんな制度の見直しが行われたのか、フラット35を利用している人が住み替えを行うときの注意点などフラット35についてわかりやすく解説します。
フラット35とは?
フラット35とは、民間金融機関と住宅金融支援機構が提携して提供する最長35年の全期間固定金利住宅ローンのことです。
全期間固定金利なので、返済途中で金利情勢が変わったとしても返済金額が上がる心配がなく、低金利で融資を受けることができるため、住宅の購入資金などの高額な融資を受けるときに便利な商品です。
しかし、フラット35は資金使途(資金の使い道)が限定されています。申込者本人または親族が住む新築住宅の建設費または購入資金、中古住宅の購入資金以外に使用することはできませんので注意が必要です。
フラット35を利用して購入した自宅を住み替えるときの注意点
フラット35は、申込者本人または親族が住むための家の建築費や購入資金以外に使用することができません。
転勤などやむを得ない事情で一時的に賃貸物件として利用し、本人が戻った時点で自宅として利用する場合は認められるケースもありますが、基本的にはフラット35を利用して購入した家を賃貸物件として利用することはできないということです。
万が一賃貸物件として利用していることが発覚した場合は、一括返済を求められる可能性があるので注意しましょう。
フラット35の総返済負担率の見直し
2020年4月1日申し込み分からフラット35の総返済負担率が見直されました。
総返済負担率とは年収に対する年間の返済額の割合のことです。フラット35の総返済負担率は、年収400万円未満の人は30%、年収400万円以上の人は35%が上限になっています。
ここで注意しなければならないのが、返済負担率の返済額は住宅ローンの返済金だけではないということです。
たとえば、車をローンで購入し、返済が残っている場合は返済額の一部として加算されてしまうので、住宅ローンとして返済できる金額がその分差し引かれてしまいます。
車のローン以外にも教育ローン、クレジットカード、カードローンの融資なども含まれます。
住宅ローン以外のローンの支払いや融資を受けている人の場合、月々の返済できる金額が減ってしまうことで融資が受けられなくなってしまう可能があります。
フラット35は2本同時に契約することができない
フラット35を利用している人が住み替えを考えている場合、フラット35を2本同時に契約することができなくなってしまったので注意が必要です。
元々フラット35は、契約者または親族が住むための家の建築費用や購入資金として利用できるものなので購入した家を賃貸物件として利用することはできません。
しかし、フラット35を利用して購入した家を賃貸物件に変えれば、家賃収入を得ながら新しい家に住み替えることができるため、本来は禁止されている前の家を賃貸物件に変え、新規で家を購入する人がいたのです。
しかし、今回フラット35に関する規定が改正されたことにより、フラット35を2本同時に契約することができなくなりました。
今まで住んでいた家を賃貸物件に変えて住み替えを行いたい場合は、最初に購入した家をアパートローンなどの事業用のローンに借り換えを行い、新規購入する家はフラット35を利用するといった手順が必要になります。
自宅を売却してフラット35を利用する場合の注意点
今まで住んでいた家を賃貸物件に変えるのではなく、フラット35で購入した家を売却して住み替えを行う場合も注意が必要です。
今までは現在住んでいる家を売却する予定になっていれば、新たに購入する家のフラット35の審査の際に前のフラット35の返済額は含まれていませんでした。
しかし今回の改正により、家を売却してもローンが残ってしまう場合は、新たに借りる住宅ローンの借入額に加算されることになりました。
たとえば、住宅ローンが3,000万円残っている家を2,500万円で売却し、新たにフラット35で、3,000万円で新しい家を購入するとします。
このケースの場合、残っているローンは500万円ですが、新しく購入する家のローンの審査の際は、前の家の住宅ローンの残金の3,000万円と新しく購入する家の3,000万円を合算した6,000万円の融資を受けるとみなされるようになってしまいました。
売却して得る利益は除外されてしまい、残っているローンの全額と、新たに購入する家の購入資金が合算された金額で融資額が計算されてしまいますので、総返済負担率をオーバーしてしまう可能性が高くなってしまったということです。
この場合、残ったローンの500万円を預貯金などで一括返済してしまえば、新しく購入予定の3,000万円分で審査を受けることができます。
自宅を売却してフラット35で住み替えをする場合、残っているローン以上の金額で家が売却できるか、もしくは残ったローンを一括で支払える場合は良いのですが、それ以外の場合は現在残っているローンの金額+新しく購入する家の金額で新たなフラット35が審査されることになりますので注意しましょう。
最後に
フラット35は、低金利だけではなく、保証人が不要で繰り上げ返済の手数料もかからないので、家の購入資金としておすすめの融資方法です。
しかし、2020年4月よりフラット35の制度の改正が行われたため、フラット35を利用して購入した家から住み替えを行う場合は注意が必要です。
住み替えを検討している人で、今回ご紹介した内容に該当する場合は、内容を確認した上で住み替えを行うように注意しましょう。