不動産を担保に借入を希望する場合、申込をすれば誰でもお金が借りられるわけではありません。融資を受けるためには、ローンの申し込みをした会社の審査に通過する必要があります。そこで今回は、不動産担保ローンの審査基準や審査に通過するためのポイントについてご紹介します。
不動産担保ローンの審査基準とは?
不動産担保ローンの審査に通過するための審査基準として挙げられる2つのポイントは、「信用力」と「不動産価値」です。
信用力は、融資する相手を信用することができるのか、いくつかの項目によって判断されます。不動産価値は、担保となる不動産がどれくらいの価値があるのか、専門の鑑定士や周辺の同様の不動産の価格などから判断されています。
つまり、融資を受ける人の信用力と不動産価値が高ければ高いほど、審査に通過しやすくなるということです。そこで、信用力や不動産価値の判断の方法についてご紹介していきます。
不動産担保ローンの審査基準「信用力」とは
融資において一般的に審査基準となる信用力は、主に以下の5つの項目で判断されることが多くなっています。
- 収入
- 勤続年数
- 年齢
- 過去の返済状況
- 他社での借入状況
1.年収
年収は、高ければ高いほど信用力は高くなることは間違いありませんが、年収の判断基準は収入だけではありません。融資を申し込んだ会社以外に借り入れがある場合、収入に対しての返済の割合を示す返済負担率も大きく影響してきます。例えば、年収400万円の人が年間で120万円の返済をしている人と、年収300万円の人で年間30万円の返済をしている人がいるとします。収入面だけを見れば年収400万円の人の方が審査に通りやすいと言えますが、返済負担率を比べると前者の人の年収に対して年間の返済負担率が30%なのに対して、後者の人は10%です。信用力は年収以外の項目も考慮して総合的に判断されますので、どちらが審査に通りやすいとは一概には言えませんが、返済負担率の割合が高くなってしまうと審査に通りにくくなります。
2.勤続年数
融資の審査を受ける際に勤続年数は、重視される項目の1つです。なぜなら、勤続年数が長ければ長いほど安定した収入を得ていると判断されるためです。そのため、勤続年数が短い場合は、勤続年数が長い人と比較した場合、審査に通りにくいと言えます。
3.年齢
カードローンなどと違い、不動産担保ローンの場合は融資額が多く、返済期間も長く設定されています。返済が長期に渡る不動産担保ローンの場合は、完済時の年齢が高齢になってしまう人は審査に影響が出る可能性があります。
4.過去の返済状況
過去の返済状況は、不動産担保ローンの信用力に大きな影響があります。過去に融資を受けたことがある場合は、返済の遅延などがあると信用度が低くなり、審査に通りにくくなります。また、税金、携帯電話の料金、クレジットカードでの買い物などの支払いがたびたび遅延している場合も、信用情報機関に情報が掲載されてしまうため審査に通りにくくなってしまいます。
5.他社での借入状況
他社のカード会社や金融機関から借り入れがある場合、借り入れをしている会社の数や金額が多いと審査に通りにくくなります。
不動産担保ローンの審査基準「不動産価値」とは
不動産を担保に融資を受ける場合、担保となる不動産の価格が高いほど融資に通りやすくなります。では、不動産の担保価値はどのように決まるのでしょうか。
不動産の評価方法は、統一されている評価方法はありませんが、一般的に土地と建物は別々に評価されます。
土地の評価方法
土地の評価方法にはいくつかの種類があります。
- 国土交通省で発表している公示地価から算出する
- 都道府県の基準地価を元に算出する
- 国税庁が発表している路線価(相続路線価)を元に算出する
- 市町村の固定資産税評価額を元に算出する
この中で不動産の担保評価に多く利用されているのが、3番目の路線価です。路線価とは、相続税や贈与税の金額を決めるときに使われている土地の価格のことを言います。路線価は、毎年7月に国税庁から発表されていて、誰でも確認することが可能です。路線価は、市場価格よりも低く設定されているため、万が一回収できなかったときのリスクを抑える手段の1つとして、不動産の評価に路線価を採用している銀行やローン会社が多くなっています。
建物の評価方法
建物の評価は、もう一度同じ建物を建てたときに必要になる費用(再調達価格)から年数の経過による劣化した分の価値を差し引いた価格で評価されます。建物の評価額=再調達価格×残存年数(法定耐用年数-築年数)÷法定耐用年数で計算されますので、法定耐用年数よりも建物が古い場合は、建物の価値はゼロになります。
不動産担保ローンの審査に通過するためのポイント
審査基準からもわかるように、不動産担保ローンの審査に通過するためのポイントは、「複数の銀行やローン会社から借り入れをしない」「ローンの返済負担率を抑える」「現在利用しているローンや税金などは必ず期日までに支払う」「できるだけ評価額の高い不動産を担保にする」です。
不動産担保ローンの場合、不動産という担保がありますので通常のローンよりも審査が通りやすい傾向があります。しかし、上記のような内容が多く当てはまってしまう場合は審査に通りにくくなりますので注意が必要です。
最後に
不動産担保ローンは、カードローンなどと比較すると比較的審査に通りやすい融資方法です。ただし、審査に通りやすくするために嘘をついてしまうと、逆に信用を失い、審査に通りにくくなってしまいます。担当者から質問を受けた場合は、正直な回答を心がけて正確な情報提供をするようにしましょう。