ノンリコースローンという言葉を聞いたことがありますか？あまり馴染みがない言葉ですが、ノンリコースローンとは住宅ローンなどで採用されている融資方式のことをいいます。ここでは、ノンリコースローンとはどのようなものなのか、また、リコースローンとはどのような違いがあるのかについて解説します。
ノンリコースローン・リコースローンとは？
ノンリコースの「リコース」には、償還（しょうかん）や遡及（そきゅう）という意味があります。
償還とは、わかりやすくいうと債務を返済するという意味があり、遡及にはある時点までさかのぼるという意味があります。ノンリコースローンは、遡及されない融資という意味で非遡及型融資と呼ばれることもあります。つまり、ノンリコースローンとは、債務者に対して責任の範囲を限定した融資方式のことをいうのです。
言葉だけでは少しわかりにくいので、実際に住宅ローンを借りたときのケースでご説明します。
住宅ローンは購入した家を担保に、家の購入代金の借入をするものですね。たとえば、新築の家を5,000万円で購入し、家の購入代金5,000万円のローンを組んだとします。通常であれば、家の購入代金に利息を含めた金額を月々返済していきます。しかし、返済途中で何らかの事情で返済ができなくなってしまった場合、債権者（お金を貸している側）は、購入した家を売却して回収されていないお金を返済してもらうことができます。このときに、回収できていないお金が3,000万円あるのに、売却した金額が2,000万円にしかならなかった場合、債務者（お金を借りた人）は、残りの1,000万円を返済する義務が発生します。この方式で融資されるスタイルのことを「リコースローン」といいます。
反対に、担保にしていた家を売却しても返済できなかった金額の責任を負わないという融資スタイルのことを、「ノンリコースローン」といいます。
ノンリコースローンとリコースローンの違い
先ほど説明したように、ノンリコースローンは債務者（お金を借りる人）にとっては有利な融資方式ですが、反対に債権者（お金を貸す側）にとっては不利になる可能性があります。
そのため、ノンリコースローンは、リコースローンと比較すると利息が高く、審査も厳しいため債務者にとってはお金が借りにくいというデメリットもあります。しかし、万が一借り入れたお金の返済ができなくなった場合、担保物件で売却したお金ですべての金額が返済できなかったとしても残金を支払う責任はありません。
リコースローンの場合は、売却したお金ですべての返済ができなかった場合、残りの金額を返済する義務はありますが、ノンリコースローンに比べると金利が安く、債務者がローンを組みやすいのはリコースローンともいえます。
日本ではリコースローンが一般的ですが、アメリカではノンリコースローンが一般的になっています。
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ノンリコースローン |
リコースローン |
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金利 |
高く設定されている |
ノンリコースローンよりも低い |
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担保物件を売却しても返済残があった場合の責任 |
返済する必要がない |
返済する必要がある |
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融資の受けやすさ |
受けにくい |
受けやすい |
ノンリコースローンのメリット・デメリット
ノンリコースローンは、万が一返済が不能になってしまった場合、債務者にとっては有利になることもありますが、デメリットになる部分もあります。ノンリコースローンを利用する場合は、メリットとデメリットを理解した上で利用することが大切です。
ノンリコースローンのメリット
ノンリコースローンの最大のメリットは、万が一返済が不能になってしまった場合は、担保物件を売却しても返済残があった場合に残りの残金を返済する責任がないことです。事業などをやっている場合、担保物件を売却しても返済ができない状況になってしまったとしても残りの残金を返済する義務がありません。そのため、ノンリコースローンの場合は担保にしていた物件を失うだけで他の資産は守ることができます。
ノンリコースローンのデメリット
ノンリコースローンのデメリットは、リコースローンに比べて金利が高く、審査も厳しいのでローンが通りにくいというデメリットがあります。また、ノンリコースローンを利用する場合、債権者側のリスクが大きいため「一定以上の純資産を維持する必要がある」「該当物件を担保にしてはいけない」などの債務者が不利になる制約が定められていることがあります。
ノンリコースローンには良い面もありますが、債務者側の負担もある融資方法なので事前に制約内容などを確認してから契約するようにしましょう。
最後に
ノンリコースローン、リコースローンという言葉はあまり聞きなれていないという人も多いでしょう。ですが、住宅ローンなどの利用を考えている人にとっては知っておきたい知識の1つです。日本ではリコースローンが一般的なのでノンリコースローンを利用している人は多くはありません。万が一、返済が不能になってしまった場合のリスクを軽減することができます。ただし、ノンリコースローンにはデメリットもあります。ノンリコースローンによる融資を検討する場合は、メリットだけではなくデメリットも理解した上で利用するようにしましょう。
ノンリコースローンとコースローンの違いについて、より詳細にご覧になりたい場合は、こちらをご参照ください。
