不動産の耐用年数という言葉は比較的よく耳にしますが、具体的な意味はよく分からないという方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、不動産の耐用年数とは何か、耐用年数オーバーの物件を担保にローンを組むことは可能なのかについて解説します。
不動産の耐用年数とは
耐用年数とは、対象となるものを資産として使用できる期間のことです。
不動産の耐用年数には、「物理的耐用年数」「法定耐用年数」「経済的耐用年数」があり、建物の資産価値を判断するときに使用されるのは法定耐用年数です。
法定耐用年数とは、対象となるものを資産として使用できる期間のことで、減価償却の際に利用されます。
不動産を購入する際や不動産を担保に融資を受ける場合、建物の価値によって住宅ローンの利用の可否や融資額が決まりますが、築年数が耐用年数よりも経過している場合は、資産価値がないという判断をされてしまうことがあります。
不動産の耐用年数は、建物の構造や用途によって細かく定められています。
不動産の構造別の法定耐用年数一覧
不動産の構造別に法定耐用年数の主なものを紹介します。
建物の種類 | 構造・用途 | 耐用年数 |
一戸建て | 住居用(木造・合成樹脂造) | 22年 |
中古一戸建て | 住宅用(※耐用年数を超えている木造・合成樹脂造) | 4年 |
マンション | 住宅用(鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造) | 47年 |
木造アパート | 住宅用(木造モルタル造) | 22年 |
例えば住居用の木造アパートの法定耐用年数は22年なので、23年経つとこの建物は資産としての価値がないと判断されることになります。
法定耐用年数を超えている場合の耐用年数は、(法定耐用年数-経過年数)+経過年数×20%=耐用年数で計算します。
例えば、築年数が23年の建物の場合、(22年(法定耐用年数)-23年(築年数))+23年(築年数)×0.2=4.4となり、耐用年数は4年になります。
耐用年数を過ぎた物件でローンは組める?
法定耐用年数とは、資産として計上できる期間を定めたものです。
通常、法定耐用年数は経費を計上する際に利用されることが多いですが、融資を受ける際にも資産価値の残り年数として耐用年数が使われることがあります。
例えば、木造の中古一戸建てを購入する場合、築15年の物件であれば資産価値として認められるのが7年になるということです。
そのため、中古物件は新築物件よりも融資が受けにくくなることがあります。
住宅ローンの場合
築年数が法定耐用年数を経過している物件を購入する場合は、金融機関によっては融資を断られてしまうことがあります。
ただし、建物には法定耐用年数がありますが、土地には法定耐用年数がありません。
建物を壊すことを前提に建物が建っている状態で売りに出されている物件の場合、土地の値段=物件の値段になっていることがあります。
このような物件であれば、土地に担保価値があると認められるためローンが利用できる場合があります。
不動産担保ローンの場合
不動産担保ローンの場合も、法定耐用年数をオーバーしている物件の場合は融資を断られてしまう可能性が高くなります。
しかし、すべてのローン会社で利用できないということではないため、不動産担保ローンの融資実績が多い会社に相談してみるのも一つの方法です。
耐用年数を過ぎた物件でローンを組むときのコツ
耐用年数を過ぎた物件でローンを組むコツを紹介します。
リフォームとセットで融資を申し込む
近年では、建築技術が向上しているため、リフォームを行うことで建物の外観や機能性がアップするだけではなく、新築と変わらない状態に物件を再生させることも可能です。
そのため、耐用年数を過ぎた物件であっても、リフォームとセットで融資を申し込めば物件の価値が認められて、融資が受けられることがあります。
土地の担保価値の高い物件を選ぶ
不動産の担保価値は、家(建物)と土地を別々に評価します。
そのため、家には担保価値がないと判断されてしまった場合でも、土地に担保価値が認められれば融資が受けられる可能性があります。
土地の価値が融資額に近ければ、ローンが利用できることがあります。
利回りの高い物件を選ぶ
投資用として耐用年数を過ぎた物件の購入を検討している場合は、利回りの高い物件を選ぶのも有効な手段です。
投資目的の物件の担保価値を計算する場合、収益還元法が使われることがあります。
収益還元法とは、家賃収入などで物件が生み出す利益をもとに融資を決める方法です。
例えば、1,500万円の木造アパートで月15万円の家賃収入が見込める場合、年間で180万円の家賃収入を得ることができ、約8年で1,500万円を回収できる計算になります。このように、古い物件であったとしても常に入居者がいて確実に家賃収入を見込むことができる物件だと判断されれば、融資が受けられる可能性があります。
最後に
建物には、構造や用途によって法定耐用年数が定められています。耐用年数がオーバーしている場合、資産価値がないと判断され、不動産ローンを組むのは難しくなります。ただし、不動産の担保価値を計算する方法にはいくつか種類があるため、耐用年数がオーバーしているすべての物件が融資不可能ということではありません。万が一融資を断られてしまった場合でも、別の会社では融資が通ることがあります。
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