不動産担保ローンとリバースモーゲージの違いは?

老後の資金確保や事業資金の調達など、不動産を活用した資金繰りにはさまざまな方法があります。

その代表的なものが「不動産担保ローン」と「リバースモーゲージ」です。

どちらも自宅や土地などの不動産を担保に資金を得る仕組みですが、対象者や利用目的、返済方法など、大きな違いがあります。

この記事では、不動産担保ローンとリバースモーゲージの違い、それぞれの特徴やメリット・デメリットを比較しながら分かりやすく解説します。

目次

不動産担保ローンとリバースモーゲージの違い

比較項目不動産担保ローンリバースモーゲージ
目的幅広い資金調達(事業資金・教育資金・住宅リフォームなど)主に高齢者が老後資金を確保するために活用
仕組み不動産を担保に一括融資を受け、元金と利息を毎月返済自宅を担保に金融機関から定期的に生活資金を受け取り、契約者死亡後に不動産売却で返済
資金使途事業・教育・不動産購入資金など、原則自由生活費・介護費用・リフォーム費用など、高齢者の生活資金に限定
審査・年齢制限は緩やか
・不動産の担保価値、収入や返済能力を重視
・60歳以上など年齢条件あり
・将来の不動産価値を重視
登記手続き抵当権設定登記抵当権設定登記
連帯保証人基本的に不要基本的に不要 (配偶者の同意は必要)
調達できる上限額不動産評価額の60~80%不動産評価額の50~60%
発生する税金固定資産税固定資産税
返済方法毎月元金+利息を返済利息のみ返済 亡くなった後で一括清算

目的の違い

不動産担保ローンは、個人・法人を問わず幅広い目的に利用できる資金調達手段です。

事業資金、教育資金、住宅リフォーム資金、投資用不動産の購入資金など、使途に大きな制限がないため、急な資金需要にも対応できます。

一方で、リバースモーゲージは高齢者の老後資金確保を主目的としており、年金だけでは生活費や介護費用が不足する場合に補う役割を持ちます。

例えば、東京都や横浜市などでは自治体提携のリバースモーゲージ制度があり、一定の年齢条件を満たす居住用不動産所有者が、生活資金やリフォーム資金を得る手段として活用されています。

仕組みの違い

不動産担保ローンは、所有する土地や建物を担保に金融機関からまとまった融資を受け、借入期間中は元金と利息を毎月返済します。

契約者が生存中に完済することが前提です。

対してリバースモーゲージは、借入人が生存中は元金を返済せず利息のみの支払い、死亡後に自宅を売却して元金と利息を一括返済します。

資金使途の違い

不動産担保ローンは、基本的に資金使途が自由なため、事業資金や教育資金など多目的に利用できます。

一方で、リバースモーゲージは生活資金、介護費用、自宅リフォーム費用など老後生活の維持に関連する資金に限定されるケースがほとんどです。

金融機関や自治体制度では、「投資目的や事業資金には利用不可」とする規約が明記されています。

審査の違い

不動産担保ローンでは、借入をする方の年齢や職業よりも、返済能力や信用情報、不動産の担保価値が重視されます。

安定収入と返済計画があれば年齢制限は緩やかです。

一方、リバースモーゲージは借入人の年齢(60歳以上が目安)や配偶者の年齢、担保不動産の将来価値に重点が置かれます。

長期的に地価が下落するリスクがある地域では、融資上限が低く設定されたり、融資を断られることもあります。

登記手続きの違い

不動産担保ローンとリバースモーゲージは、どちらも不動産に抵当権設定登記を行いますが、リバースモーゲージでは終身居住権の確認や配偶者の同意取得など、居住継続を前提とした手続きが加わる場合があります。

特に夫婦共有名義や持分割合がある場合は、金融機関から詳細な書類提出を求められることが一般的です。

連帯保証人の違い

不動産担保ローンは、金融機関や借入額によって連帯保証人を求められることがあります。

例えば、希望融資額に対して不動産評価額が不足する場合、返済能力に不安がある場合は家族や第三者が保証人となる必要があります。

リバースモーゲージは基本的に連帯保証人を必要としません。

しかし、配偶者がいる場合は同意が必要です。また、配偶者と共同名義の不動産の場合、配偶者が物上保証人になる必要があります。

調達できる上限額の違い

不動産担保ローンは不動産評価額の60〜80%程度が目安とされ、返済能力や融資期間に応じて上限が決まります。

これに対し、リバースモーゲージは将来の地価下落を見越して安全性を重視するため、不動産評価額の50〜60%程度が限度となるケースが一般的です。

借入額は年齢や物件所在地によっても変動します。

発生する税金の違い

不動産担保ローンとリバースモーゲージは、どちらも不動産の所有権を維持したまま資金調達する方法です。

そのため、借入期間中も固定資産税や都市計画税を支払い続けることになります。

また、契約時に印紙税や抵当権設定登記に伴う登録免許税がかかる点も共通しています。

返済方法の違い

不動産担保ローンは、毎月の元金と利息の返済が必要です。

完済すれば担保設定は抹消され、不動産の自由度が回復します。

リバースモーゲージは、契約者の死亡時に不動産を売却し、その売却代金で元金と利息を一括返済するのが一般的です。

相続人が自宅を引き継ぎたい場合は、自ら資金を用意して残高を一括返済する必要があります。

不動産担保ローンとリバースモーゲージはどちらがおすすめ?

以下の表は、不動産担保ローンとリバースモーゲージのメリット・デメリット、活用シーンをまとめたものです。

 不動産担保ローンリバースモーゲージ
メリット・事業資金や教育資金など幅広い用途に対応
・比較的低金利で高額融資が可能 ・返済完了後は不動産をそのまま相続できる
・毎月の元金返済が不要で老後の生活費を確保しやすい
・死亡後の売却で返済するため年金や貯蓄が少なくても利用可能
デメリット・収入や信用情報を重視する審査がある
・元利返済のため安定した収入が必要
・返済不能時には競売にかけられるリスクがある
・利用は原則60歳以上など年齢条件あり
・将来の不動産価値が下落すると融資額が減額される場合がある
・金利変動で利息が膨らむ可能性がある
活用シーン・事業拡大や教育費、リフォームなど多目的な資金調達
・相続対策や複数の借入金の一本化
・所有資産を維持しながら高額資金を得たい場合
・年金だけでは生活費が不足する場合の補填
・医療費や介護費、老後リフォーム費用の確保
・自宅に住み続けながら老後資金を得たい場合

不動産担保ローンは、資金使途が自由で無担保ローンより金利が低いため、長期的な資金計画を立てやすい点が魅力です。

ただし毎月の元金返済と利息支払いが必要であり、返済が滞ると担保不動産が競売にかけられるリスクがあるため、確実な返済計画を立てて利用しましょう。

リバースモーゲージは主に60歳以上の高齢者を対象とした制度で、自宅を担保に金融機関から毎月または一括で資金を受け取り、契約者が死亡した後に自宅を売却して返済する仕組みです。

借入金は所得ではなく債務として扱われるため、受け取った資金に所得税は課税されません。

毎月の元金返済が不要で、年金や貯蓄が少なくても自宅に住み続けながら生活費や介護費用、リフォーム資金を確保できる点が大きなメリットです。

ただし、不動産価格の下落による融資額の減額リスクや、金利変動による利息増加、年齢や家族構成などの利用条件に注意が必要です。

不動産を売却せずに老後資金を資金調達できる!不動産担保ローンを活用しよう

老後資金を確保したいが「自宅は残したい」という方には、不動産担保ローンが有効な選択肢となります。

所有する自宅や賃貸用物件を担保にすることで、無担保ローンよりも低金利で高額の融資が可能です。

金融機関によっては、年金収入や資産内容を考慮した柔軟な審査を行うところもあり、安定収入があれば高齢でも利用しやすいケースがあります。

将来の生活設計や返済能力を冷静に見極めたうえで、リバースモーゲージと比較検討し、最適な資金調達方法を選びましょう。

協和信用保証株式会社では、不動産担保ローンに特化した融資を行っております。

お客様の状況に合わせた柔軟な審査を提供いたしますので、お気軽にご相談ください。

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