中小企業を経営する経営者にとって、事業資金を調達する方法を確保しておくことはとても重要です。そこで今回は、資金調達の方法の1つであるマル経融資とは何か、マル経融資の審査条件や申請方法について解説します。
マル経融資とは?
マル経融資とは、商工会議所や商工会などで経営指導を受けている小規模の事業者が必要としている資金を担保や保証人の必要がなく融資が受けることができる制度のことで、正式名称は、「小規模事業者経営改善資金」といいます。マル経融資の大きな特徴は、申込先は商工会議所ですが、実際の融資は国が100%出資している機関の日本政策金融公庫で行っている点です。マル経融資は、融資が受けられるように商工会議所の推薦をもらい、日本政策金融公庫の審査に通過すると融資を受けることができます。
マル経融資が受けられる人とは?
マル経融資を受けるためには、以下の条件を満たしている必要があります。
- 従業員が20人以下の法人または個人事業主であること
- 所得税、法人税、住民税、事業税などの税金の滞納がないこと
- 指導を受けている商工会議所の地域内で1年以上事業を行っていること
- 商工会議所の金融、経営指導を受け、事業の改善を行っていること
- 商工業者であり、日本政策金融公庫の融資対象の事業を行っていること
※商工業者とは従業員が20人以下(商業またはサービス業を主とする事業者の場合は5人以下)の小規模事業者のこと
マル経融資は、指導を受けている商工会議所の地域内で1年以上の事業を行っていなければならないという条件があるため、創業資金として融資を受けることはできません。また、商工会議所の指導を受け、事業の改善を行っている必要があるため、商工会、商工会議所の相談員から6か月間の経営指導を受けることが必要です。
マル経融資は従業員が20人以下(商業またはサービス業を主とする事業者の場合は5人以下)の小規模事業者を対象としている融資なので、銀行などの融資が通りにくい小規模事業者が利用しやすい制度ということがいえます。ただし、対象となる事業は商工業やサービス業となっているため、宿泊業や娯楽業、保険の代理店などの経営者は融資を受けることができません。また、申し込む商工会議所によって独自の条件が定められている場合がありますので、マル経融資の詳細な内容については指導を受けている商工会議所に確認するようにしましょう。
マル経融資の申請方法
マル経融資は、指導を受けている商工会議所を通して申請を行います。商工会議所にマル経融資の相談をして、推薦状を作成してもらいます。商工会議所から推薦を受けると日本政策金融公庫による審査があり、審査に通過すると融資が実行されます。商工会議所からの推薦状以外にも「確定申告書」「決算書」「設備投資の場合は導入予定の設備の見積書」「納税証明書」などの書類が必要になります。商工会議所に融資の相談をする際に、申請についても確認しながら行うとスムーズに手続きを行うことができます。
マル経融資のメリット・デメリット
小規模事業者の強い味方のマル経融資ですが、メリットやデメリットにはどのようなことがあるのでしょうか。
マル経融資のメリット
マル経融資のメリットには以下のようなことがあります。
- 国が出資している公的機関の日本政策金融公庫の融資を受けることができるので金利が低い
- 担保や保証人を準備せずに融資を受けることができる
- 運転資金や設備資金として利用することができ、2,000万円を限度に融資を受けることができる
担保や保証人の必要がなく、最大で2,000万円までの融資が受けられ、公的機関の融資なので金利が安いなど小規模事業者にとってありがたいメリットが多くあります。
マル経融資のデメリット
ご紹介のようにマル経融資には多くのメリットがありますが、デメリットはあるのでしょうか。デメリットといえる点には以下のようなことがあります。
- 融資の申し込みをするためには地域の商工会議所の指導員から6か月間の指導を受けなければならない
- 宿泊業や娯楽業など融資の対象にならない業種がある
- 運転資金の場合は7年以内(うち据え置き期間1年以内)、設備資金の場合は10年以内(うち据え置き期間は2年以内)に返済しなければならない
マル経融資には、商工会議所の指導員から金融や経営の改善を図っている小規模事業者を対象とした融資なので、融資を申し込む前に6か月間の指導を受けなければなりません。また、一部の業種は融資の対象にならないので注意が必要です。無担保、保証人なしで融資を受けることができますが、返済期間が比較的短い点もデメリットといえるでしょう。
マル経融資の審査落ちしてしまう事業者の特徴は?
マル経融資は商工会議所から推薦を受け、条件を満たしている事業者であれば問題なく融資してもらえるといわれています。しかし、マル経融資の審査に落ちてしまうことがあります。そこでマル経融資の審査に落ちてしまう事業者の特徴をご紹介します。マル経融資の審査落ちしてしまう事業者の主な特徴は以下の3つです。
- 面接の印象が悪い
- 債務超過や返済の遅延がある
- 過去に高金利の金融機関からの借入や消費者金融からの借入がある
マル経融資は、商工会や商工会議所から指導を受け、事業状況の改善を行っている小規模事業主を対象とした融資です。そのため、面接時に事業計画や資金の使用用途の必要性が感じられる内容を答えられないと印象が悪くなり、審査落ちしてしまう可能性があります。
また、債務超過や返済の遅延がたびたびある、過去に消費者金融からの借入があった場合も、審査の際に大きなマイナス要素になります。
すぐに融資が必要な場合は不動産担保ローンで
ご紹介のようにマル経融資は、小規模事業者の事業を立て直すために国が出資している公的機関から融資を受けることができるので、銀行などの審査が通りにくい小規模事業者にとってありがたい制度です。しかし、6か月間の指導を受け、事業や経営の改善を行う必要があるため、指導を受けていなかった場合はすぐに申し込みをすることができません。また、税金などの滞納がある場合は税金の完納を行う必要があります。商工会議所の指導を受けていない、税金の滞納があり、今すぐに完納するのが難しい場合は、不動産担保ローンの利用を検討してみましょう。不動産担保ローンの利用にも審査はありますが、担保となる不動産の価値が高い場合は審査が通る可能性があります。またマル経融資は、返済期間が比較的短いというデメリットがありますが、不動産担保ローンの場合は、返済期間が長く設定されているので、無理のない返済計画を立てることが可能です。マル経融資をすぐに申し込むのが難しい場合は、不動産担保ローンの利用を検討してみましょう。
最後に
マル経融資は、指定の条件を満たしていて商工会議所の推薦を受けることができれば、ほぼ融資が実行されるといわれています。担保や保証人の必要のない融資は小規模事業者にとってありがたい制度ですが、比較的返済期間が短い点がデメリットといえます。不動産担保ローンの場合、担保となる不動産は必要になりますが、返済期間が長いため、無理のない返済計画を立てることができます。マル経融資をすぐに申し込むのが難しい、マル経融資の審査に落ちてしまった場合は、不動産担保ローンの利用を検討してみてはいかがでしょうか。