不動産担保ローンは、借主が個人ではなく法人として利用することが可能です。そこで、不動産担保ローンの借主を法人にする場合の注意点についてご紹介します。
法人向けの不動産担保ローンであるかを確認する
法人を主債務者として不動産担保ローンの利用を検討する場合は、法人が利用できる不動産担保であるかどうかを確認しておく必要があります。なぜならば、法人の場合は事業資金の調達は銀行などから融資を受けることが可能なので、個人向けの不動産担保ローンを扱っている会社であっても、事業者向けの不動産担保ローンの扱いがないことがあるためです。
法人名義で不動産担保ローンを利用する場合、使用用途は事業資金に限られています。事業資金以外に借り入れたお金を使用することができませんので、この点にも注意する必要があります。
代表取締役を連帯保証人にしなければならない
不動産担保ローンを法人名義で利用する場合、法人団体が株式会社であったとしても有限会社であったとしても融資の条件は変わりませんが、登記されている代表取締役社長を連帯保証人として契約しなければいけないという決まりがあります。
また、担保となる不動産を法人経営者が所有している場合であっても、法人名義ではなく個人名義になっている場合は、主債務者を法人にするか、個人にするかの選択ができる会社もあります。法人名義での融資は極力避けたいという経営者の場合は、契約するまえに事前に融資相談をすることをおすすめします。
法人を主債務者にする場合は契約時の書類が多い
利用する会社によって提出しなければいけない書類の内容は異なりますが、法人を主債務者として不動産担保ローンを契約する場合、多くの書類の提出が必要になります。
提出が必要な書類には、以下のようなものがあります。
- 商業登記簿謄本
- 決算書(2期分)
- 各種納税証明書
- 固定資産課税台帳(名寄帳)
- 本人確認書類
他社からすでに借り入れがある場合は、返済計画書の提出を求められることがありますのであらかじめ準備しておくと良いでしょう。
法人の種類によっては不動産担保ローンが利用できないことも
法人には、「株式会社」「有限会社」「福祉法人」「医療法人」などのさまざまな団体があります。基本的に法人向けの不動産担保ローンを利用し、融資を受けたお金を事業資金として使うのであればほとんどのケースは問題がありません。
しかし、法人の中には所有している不動産を利用し、家賃収入などの収益をあげてはいけない団体があります。医療法人の場合、基本的に利益は医業からあげる必要がありますが、医療法人であったとしても、法人所有の不動産を利用して不動産担保ローンを利用して融資を受け、設備投資などに使用するのであれば特に問題はありません。
たとえば不動産担保ローンの利用目的が、借りたお金でビルを1棟買い上げ、家賃収入を得るためだった場合、賃貸収入が医業収入の一定の割合を超えた場合、医療法人の附帯業務とみなされず、法人の定款や約款に抵触する恐れがあります。このようなケースの場合は、不動産担保ローンの契約を断られる可能性があります。医療法人のように収益に関する制限がある団体の場合は、事前に法人の定款や約款を確認しておくようにしましょう。
メインバンクに融資を断られた場合に不動産担保ローンは有効
法人が主債務者として不動産担保ローンを利用する場合の注意点についてご紹介してきましたが、メインバンクの融資を断られてしまった場合でも、不動産担保ローンを利用することで融資が受けられる可能性があります。
銀行系の融資の場合、他社の借入状況や経営状態によっては追加融資が受けられないことがあります。ですが、不動産担保ローンの場合は、所有している不動産価値があれば利用することができるため、事業資金を調達する方法としては比較的利用しやすいといえます。法人の場合、できれば信頼性の高い銀行の不動産担保ローンを利用したいと考える人も多いと思いますが、銀行では法人向けの不動産担保ローンを取り扱っているところはほとんどありません。
銀行から融資を受ける場合、所有している不動産を担保にすることがあるため、不動産担保ローンとして商品化する必要がないことが理由として考えられます。
法人として不動産担保ローンを利用したい場合は、ノンバンクのローン会社を利用することになります。銀行からの融資が難しい場合は、不動産の売買をしている会社の不動産担保ローン会社に相談してみることをおすすめします。
まとめ
法人として不動産担保ローンを利用する場合は、個人のときとは違う注意点があります。しかし、銀行の融資を断られてしまった場合でも、不動産売買をしている会社の不動産担保ローンを利用することで融資が受けられる可能性は高いです。メインバンクからの融資が難しい場合は、不動産担保ローンの利用を検討してみましょう。