何らかの理由で資金が必要になり融資を希望する場合、所有する不動産を担保に提供することで、大きな金額の融資を受けることができる可能性があります。例えば会社経営者や個人事業主が事業資金として大規模な融資を希望するようなケースでは、所有する1つの不動産価値評価だけでは希望する融資額に届かないというケースもあります。このような場合、もし資金需要者が複数の不動産を所有しているのであれば、複数の不動産を担保に提供して高額な融資を受けるという方法があり、それを「共同担保」と言います。今回は共同担保と不動産価値の関係について解説していきたいと思います。
共同担保とは何?わかりやすく解説
所有する不動産を担保に融資を受ける方法として、代表的なのは「住宅ローン」です。住宅ローンの多くはこれから住む家を購入するための住宅購入資金について、購入する家を担保に融資を受けるというものですが、その他の資金使途で大規模な融資を希望するといった場合、所有する1つの不動産価値評価だけでは希望する融資額に届かず、大規模な融資は受けられないということも少なくありません。
もし資金需要者が複数の不動産を所有しているのであれば、1つの不動産だけでなく、2つ、3つと他の不動産もあわせて担保提供し、合算することで不動産価値を高めて希望する融資を受けることができるようにするという方法があります。これが「共同担保」です。
実は、一般的に利用されている住宅ローンについても、実は住宅ローンの多くは共同担保となっています。戸建て物件を担保にした住宅ローンの場合、土地と建物という2つの不動産が共同担保に設定されているのです。
共同担保で不動産担保価値を高めるとは何か
共同担保を活用する最大のメリットは不動産担保価値を高めることにあります。言い換えますと、融資を受けることができる上限金額を高められるということです。1つの所有不動産を担保提供するだけでは1,000万以内の融資しか申し込むことができなかったという方も、共同担保で2つ目の不動産を担保にすることで、1つの不動産だけのときよりも融資可能金額を大きくすることができるのです。
具体的な例をあげて共同担保をわかりやすく説明していきましょう。
資金需要者が1億円の融資を希望していて、所有する不動産を担保に不動産担保ローン会社の申し込みをしたところ、担保提供した不動産の価値は8,000万円と判断されてしまいました。担保提供した不動産だけの価値では、1億円の融資を受けることができなかったのです。しかし、この資金需要者はもう1つ別に不動産を所有していたため、もう1つの不動産も担保に提供することにしました。その結果、もう一つの不動産の不動産価値が5,000万円あると判断され、結果として希望する1億円の融資を受けることができたのです。このように、担保不動産を複数設定し、その合算によって不動産価値を高める方法が共同担保なのです。
共同担保目録は法務局で確認
共同担保で融資を受ける場合は、複数の不動産が担保に設定されます。この不動産全てを一覧で確認できるようにしたものが共同担保目録です。共同担保目録は共同して担保の対象となっているものを示す資料として法務局が管理しており、法務局に行けば発行してもらうことができます。
共同担保目録を確認するケースとしては、所有する不動産を売却するときなどがあります。所有する不動産を売却しようとした際に、もしその不動産に抵当権が設定されている場合、所有権移転時期までに抵当権が抹消されていなければ売却取引が完了しないためです。そのため、複数の不動産を所有しており、それらを共同担保に融資を受けている場合には、どの不動産が担保に設定されているのかを共同担保目録により確認する必要があるのです。
最後に
今回は、複数の不動産を担保に設定する共同担保について解説してきました。不動産担保ローンとしてもっとも認知度の高い住宅ローンも、実は共同担保になっていることが多く、所有する土地とその上に建つ建物の2つの不動産が共同担保として担保に設定され、希望する金額の融資を受けることができているのです。また、もし過去に共同担保に設定したことがあり、すでに融資金額の返済が完了している不動産の売却を検討されている場合には、共同担保目録と呼ばれる担保の対象となっている不動産の一覧が示された書面を確認する必要があります。共同担保目録は法務局が管理しており、最寄りの法務局へ行けば共同担保目録を発行してもらうことができます。共同担保による不動産担保ローンについて、より詳細にご覧になりたい場合は、こちらをご参照ください。
https://kshc.jp/realestate-securedloan/