不動産担保ローン関連コラム

不動産担保ローンの不動産の評価額は銀行によって違う?

不動産担保ローンの利用を考えている場合、気になるのは所有している不動産の評価額ではないでしょうか?評価額が高ければ融資額を増やすことができますし、低評価しかもらえない場合は必要な金額を融資してもらえない可能性もあります。不動産の評価額は、銀行によって異なるという話を聞いたことはありませんか?そこでここでは、不動産担保ローンを利用する場合の不動産の評価額はどのように決まるのか、本当に銀行によって評価額は変わるのかについてご紹介します。

不動産の評価額はどのような方法で決まるのか?

不動産担保ローンの融資額に大きな影響を与える不動産の評価額はどのようにして決まるのでしょうか。不動産の鑑定は、不動産鑑定士と呼ばれている不動産を鑑定する専門の人によって評価されることがあります。

不動産の評価方法は銀行によって異なるケースもありますが、不動産鑑定士によっても評価が異なるので評価額が変わってしまうこともあります。

不動産担保ローンで利用する不動産の鑑定方法

不動産担保ローンで担保として利用したい不動産の評価価格は、不動産鑑定士という専門の資格を持った人が行っています。

不動産の鑑定方法には、主に以下の3つの方法があります。

  1. 収益還元法
  2. 取引事例比較法
  3. 原価法

どんな方法なのか1つずつ解説していきます。

収益還元法とは

収益還元法とは、将来発生すると考えられる利益に着目して不動産の評価額を査定する方法です。収益還元法の中には、直接還元法とDCF法の2つの方法があります。

直接還元法は、一定の純利益を還元利回りで割った金額で不動産の評価額を計算する方法です。還元利回りとは、たとえば5,000万円で購入した物件で500万円の利益があった場合、500万円÷5,000万円になるので、還元利回りは10%ということです。直接還元法で不動産の評価額を計算する計算式は以下のようになります。

不動産の評価額=一定期間の純利益÷還元利回り

この場合、還元利回りの計算方法が不動産の評価額に大きな影響があるため「割引率(同じ100万円でも現在と10年後の価値の違いを考慮する)」「類似不動産の取引事例」などによって還元利回り決定します。

DCF法は、ディスカウントキャッシュフローの略で保有期間に得ることができる純利益と売却時の予想売却価格に対して現在の価格に割引いた金額を不動産の評価額とする方法です。DCF法での不動産評価額を計算する計算式は以下のようになります。

不動産の評価額=毎期で得られる純利益の合計+将来の売却価格の現在価値

直接還元法では還元利回りの設定が不動産の評価額に大きく影響しますが、DCF法の場合は割引率の数字が不動産の評価額に大きな影響があります。

取引事例比較法

取引事例評価法は、評価対象になる不動産と同等の他の物件の価格と比較して不動産の評価額を決める方法です。評価額を決める際は、取引時期や市場の動向も考慮されます。

原価法

原価法とは、評価する物件と同じ建物を建てた場合、どれくらいの費用が必要なのかという点に基づいて不動産評価額を決める方法です。新築の状態の価格を想定しているので将来売却価格という概念ではなく、建物を建てたときから現在までに経過した分の建物の価値を差し引き、価格の評価価格が決まります。

金融機関が担保評価に使う積算価格とは?不動産評価額とは何が違うの?

不動産の評価額について調べていて積算価格という言葉を目にした人も多いのではないでしょうか。不動産鑑定士によって評価される評価額と積算価格はどのような点に違いがあるのでしょうか。また積算価格はどのように計算されるのでしょうか。

積算価格とは?

積算価格とは、建物の建築費と土地の価格を足した金額のことをいいます。土地の価格は、「路線価」「公示地価」「固定資産税評価額」を利用して評価されます。公示地価は、国土交通省が1月1日時点の価格を年に1回公示するものです。公示価格は2名以上の不動産鑑定士によって決められています。路線価とは、公示地価とほとんど同じですが、基準となる日にちが1月1日ではなく7月1日時点の価格という点が公示地価と異なっています。

路線価とは、国税庁が管轄している土地の評価価格のことをいいます。路線価には、「相続税路線価」と「固定資産税路線価」があります。「相続税路線価」は、公示地価の8割程度、「固定資産税路線価」は、公示地価の7割程度の価格で評価されています。

これらを使って土地の評価額が決定され、そこに建物の建築費を加算した金額のことを「積算価格」といい、不動産を融資する場合の評価額に利用している銀行もあります。

銀行によって不動産の評価額が異なる場合もある

今まで不動産の評価額の方法についてご紹介してきたように、銀行が不動産を評価する方法にはいくつか種類があることと、不動産の価格を評価する不動産鑑定士によっても評価が異なるため同じ不動産でも銀行によって評価額が異なることがあります。

また、銀行の評価額として利用されている積算価格と不動産の実際の取引価格とは同じになることはほとんどありません。都市部の中心に近いほど、積算価格よりも実際の取引価格のほうが高くなり、逆に地方や郊外の場合は、実際の取引価格よりも積算価格の方が高くなる傾向があります。

不動産担保ローンを利用する場合、いくつかの銀行やローン会社の中からどこの銀行やローン会社を利用するか検討する人が多いと思います。その際、不動産の評価額が飛びぬけていいところがあった場合は、逆に注意することも必要です。

最後に

不動産の評価額を決める方法はいくつかの方法があります。評価額を決める方法としてはどれも間違いではありませんが、銀行によっても評価方法が異なりますし、同じ物件を違う不動産鑑定士による査定が行われた場合でも評価額が異なることがあります。不動産を担保にしてお金を借りる場合、利用する銀行やローン会社によっても評価額が大きく異なるケースがあります。不動産担保ローンを利用する場合は、借り入れ先は慎重に選ぶようにしましょう。

融資を受ける際の不動産の評価額について、より詳細にご覧になりたい場合は、こちらをご参照ください。

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