会社を経営している人であれば、「資金繰り」という言葉を聞いたことがないという人はおそらくいないのではないでしょうか。安定した会社経営をするためには、資金繰りは不可欠だからです。そこで、今回はわかっていそうでわかりにくい資金繰りの基礎についてご紹介します。
資金繰りとは？
資金繰りとは、会社の経費の支払いができるように入ってくるお金と出ていくお金を管理し、会社の資金をコントロールすることをいいます。資金繰りがうまくいかなくなってしまうと、支払い期日になっても必要な経費の支払いや返済ができなくなってしまいます。健全な会社経営を行うためには、会社の資金の動きを把握しておくことが重要です。
資金繰りとキャッシュフローの違い
お金の動きを管理するという意味で使われる資金繰りですが、資金繰りとキャッシュフローの違いがよくわからない、違いをきちんと答えることができないという人も多いのではないでしょうか。資金繰りについて理解を深めるために、資金繰りとキャッシュフローの違いについてご説明します。
キャッシュフローとは？
キャッシュフローとは、文字どおり現金そのものの動きを表したものです。一定期間の現金の流れを分析し、会社の財務状態の判断に使用されます。
資金繰りは未来のお金の流れを、キャッシュフローは過去のお金の流れを表す
資金繰りは会社の経費の支払いや返済ができるようにできるように入ってくるお金と出ていくお金を管理することです。決められた支払い期日までに現在あるお金と現在以降に入金予定になっているお金を把握し、決められた支払い期日に支払いができるように管理します。つまり、入金予定になっているお金と支払い予定になっている未来のお金の流れを管理するのが資金繰りということです。一方、キャッシュフローはすでに入金された現金やすでに支払った現金の動きを表したものです。つまりキャッシュフローの方は過去のお金の流れを表していることになります。
資金繰表はなぜ必要なのか
経理の書類で作成される資金繰表ですが、資金繰表の作成はなぜ必要なのでしょうか。資金繰りを行うためには3つの手順が必要です。
- お金が必要になるときを予測する
- お金がいくら必要になるのかを予測する
- お金を工面する手段を確保する
お金が必要な日、必要な金額を事前に予測するために、一定期間のお金の流れを把握しやすくする目的で作成するのが資金繰表です。資金繰表には決まったフォーマットはありませんので、テンプレートなどを利用して作成することもできますが、自社の内容に合った資金繰表を作成したい場合はエクセルを利用して作成することも可能です。
エクセルを利用して資金繰表を作成する方法
資金繰表は、「前月繰越金」、一定期間の「収入」、「支出」、「財務収入」、「財務支出」の予算と実績がわかるように作成します。資金繰表の作成例をご紹介します。
項目は会社ごとに必要な内容が異なりますので、自分の会社で必要な項目を入力します。予算は予想される金額を、実績には実際にあった収支の金額を入力します。合計金額や繰越の金額は関数や計算式を入力しておくと、必要な金額を入力すると自動的に計算されるので間違いがなく、入力を簡単にすることができます。インターネットで検索すると無料のテンプレートが配布されていますので、使いやすい資金繰表を見つけて必要に応じて変更すると、比較的簡単に作成することが可能です。
資金繰表を参考に資金調達方法を確保する
収入と支出のタイミングが合い、問題なく支払いができる場合は良いのですが、万が一支払いの金額が足りない場合は資金調達をしなければなりません。銀行などから融資を受ける場合、融資が実行されるまでに時間がかかるので、融資の相談や申し込みは早めに行う必要があります。資金調達を早めに行うためには、資金繰表の作成はかかせないということがおわかりいただけたのではないでしょうか。
銀行からの融資が難しい場合は不動産担保ローンを検討する
資金調達が必要になり、銀行からの融資が難しい場合は不動産担保ローンの利用を検討してみましょう。不動産担保ローンのメリットは、担保となる不動産価値が高ければ銀行などの審査よりも融資の審査が通りやすいことです。ただし、返済ができなくなってしまった場合は担保となっている不動産を手放さなければならなくなってしまう可能性がありますので、不動産担保ローンを利用する場合も資金繰表を作成し、資金の流れを把握して返済が滞らないようにすることが大切です。
最後に
経営者にとって資金繰りは切っても切れないものです。特に資金に余裕のない会社の場合は資金ショートの可能性が高いため、資金繰表を作成して日頃から資金の流れを把握し、資金調達方法を確保しておくことが大切です。資金繰表を作成しておくと資金の流れを一目で把握することができるようになり、会社の財務状況の安全性が高まりますので銀行などの融資の審査が有利になる可能性があります。資金繰表をエクセルで作成する場合は、最初から作成するのではなくテンプレートを利用して自分が使いやすいように変更するのがおすすめです。万が一資金がショートする可能性があり、銀行からの融資が難しい場合は早めに不動産担保ローンを専門に扱う会社に相談してみましょう。
