実勢価格は、土地や建物など不動産の評価額の一つです。不動産の評価額は、使用する目的によって算出方法が異なります。そこでこの記事では、実勢価格とはどんなものか、路線価や固定資産税評価額との違いや調べ方について解説します。
実勢価格とは
実勢価格とは、土地などの不動産が実際に取引された価格のことです。つまり、2,000万円で購入した土地の実勢価格は2,000万円となります。
実勢価格は、売り手側と買い手側の合意によって決められる価格です。まだ取引のない土地や不動産の場合、周辺の同じような不動産の実勢価格を参考にするのが一般的ですが、実際の取引価格はさまざまな条件交渉によって決まるため、周辺不動産のの実勢価格よりも下がることもあれば、上がることもあります。
不動産担保ローンを借りる場合の担保価値を算出する際に、実際価格が使われることもありますが、時期や取引条件によって変動要素の大きい価格でもあるため、あくまでも目安としておきましょう。
実勢価格と路線価の違い
路線価とは、道路に面している標準的な宅地の1平方メートル当たりの価額を千円単位で表した土地の価格のことで、相続税評価額を算出する際の土地の評価に用いられるものです。
実勢価格と路線価には違いがあり、路線価は実勢価格の8割程度となるのが一般的です。
また、路線価からおおよその実勢価格を知りたい場合は、「路線価÷0.8×1.1」で求めることができます。
ただし、前述の通り、実勢価格は取引条件によって大きく変動するため、あくまでも目安として考えましょう。
実勢価格と固定資産税評価額の違い
固定資産税評価額とは、固定資産税を算定する際に使用される土地の価格です。
路線価同様、実勢価格とは違いがあり、固定資産税評価額は実勢価格の7割程度
固定資産性評価額からおおよその実勢価格を知りたい場合は、「固定資産税評価額÷0.7×1.1」で求めることができます。
また、固定資産税評価額は、毎年春頃に送られている固定資産税納付書の書類に同封されている明細書で確認できます。
実勢価格の調べ方
実勢価格を調べる方法はいくつかありますが、実際に取引された金額を知りたい場合は国土交通省の「土地情報総合システム」で検索して調べることができます。
「不動産取引価格情報検索」を選択し、知りたいエリアの都道府県を選択したら、画面左側の画面で「取引された時期」、「土地の種類」、「地域」を設定して「この条件で検索」をクリックします。「最寄り駅」「最寄り駅からの距離」「取引総額」「坪単価」「面積」「1平方メートルあたりの単価」「土地の形状」「取引された時期」などの情報が細かく一覧で表示されるので、似たような不動産物件の情報があれば実際の実勢価格に近い情報を確認できるでしょう。
また、所有している土地周辺で取引の実績がない場合は、上記で説明したように「路線価」や「固定資産税評価額」からおおよその実勢価格を調べることもできます。
実勢価格と不動産担保評価額は同じではない
所有している不動産を担保にローンを申し込む場合、どれくらいの融資が受けられるのかを知りたいというケースがあります。
実勢価格とは、所有している不動産を売却したときに実際に売れる値段のことですが、実勢価格と不動産担保評価額は同じではないため注意が必要です。
例えば、実勢価格が2,000万円の土地を担保に融資を受けたい場合、2,000万円までの融資が受けられるという意味ではありません。
不動産担保ローンのように不動産を担保に融資を受ける金融商品の場合、不動産評価額と不動産担保評価額が融資限度額に関係してきます。
不動産評価額とは、不動産がいくらで売却できるかという視点で評価されるものですが、不動産担保評価額は不動産評価額に一定の担保掛目を掛けて算出します。
不動産担保ローンの場合、担保掛目は7割程度の会社が多く、例えば不動産評価額が2,000万円、担保掛目が70％だった場合の不動産担保評価額は1,400万円となります。
土地の値段には、実際に不動産が取引されるときの金額の実勢価格の他に、土地などを売買するときの標準価格の目安となる公示価格や、相続税を算出する場合に利用される路線価、固定資産税を算出する際に利用される固定資産税評価額などがあります。
どの金額を基準に不動産評価額が算定されるのかは、利用する金融機関やローン会社によって異なります。
そのため、銀行で融資を断られてしまった場合でもノンバンクの不動産担保ローンであれば融資が受けられるといったケースもあります。ただし、ノンバンクの不動産担保ローンを利用する場合でも実勢価格と不動産担保評価額はイコールではないため、どれくらいの融資が可能なのか知りたい場合は、融資を希望する会社に相談するようにしてください。
最後に
実勢価格とは、不動産取引で売買された実際の価格のことです。実勢価格をあらかじめ調べておくことでおおよその融資限度額を把握することができるので、不動産を担保に融資を検討している場合は周辺の土地の実勢価格を調べておくのも良いでしょう。
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