家族信託とは?相続対策で注目される理由とメリット・デメリットを解説

家族信託は、将来の財産管理や承継を家族に託すことで、認知症や相続トラブルに備えられる制度です。

近年は、超高齢化や認知症の増加などを背景に、相続対策の有力な選択肢としても注目が高まっています。

この記事では、家族信託の基本的な仕組みや、相続対策として注目される理由、実行する前に知っておきたいメリット・デメリットについて、わかりやすく解説します。

目次

家族信託とは?

家族信託とは、財産の持ち主(委託者)が、信頼できる家族(受託者)に、財産の管理や処分を任せる仕組みです。

将来の財産管理や相続に備える制度には、遺言や成年後見などのいくつかの方法がありますが、家族信託には所有する財産の内容や家族の状況に応じて柔軟に設計しやすいという特徴があります。

家族信託が相続対策として注目される理由

近年、家族信託は相続対策の手法としても注目を集めています。

その理由には、以下のような社会的背景が関わっていると考えられます。

超高齢化社会に伴う相続トラブルの増加

日本では、令和5年10月1日時点での65歳以上の人口が3,623万人と、総人口の29.1%を占めています。

出典:内閣府「高齢化の状況

超高齢化社会の進行に伴い、増加傾向にあるのが相続関連のトラブルです。

実際、最高裁判所の司法統計年報のデータでは、遺産分割事件数が令和4年12,982件、令和5年13,872件、令和6年15,379件と増加傾向にあることが示されています。

出典:裁判所「司法統計年報(令和4年)」「司法統計年報(令和5年)」「司法統計年報(令和6年)

このような背景から、相続が起きてから対応するのではなく、あらかじめ将来の財産の承継方針を決めておきたいというニーズが高まっていることも、家族信託が注目を集める理由のひとつです。

認知症患者の増加と資産凍結リスク

相続対策においては、亡くなった後の財産承継だけでなく、本人の判断能力が低下した後の財産管理についても考えておかなければなりません。

高齢化が進む日本では、認知症患者も年々増加傾向にあります。

認知症と診断され、本人の意思確認が難しくなると、預貯金の引き出しが制限されたり、不動産の売却が難しくなったりすることがあるため、注意が必要です。

そのため、元気なうちに家族へ財産管理を任せる家族信託は、認知症対策を兼ねた相続対策としても注目を集めています。

平均寿命と健康寿命の差による長期の要介護期間

平均寿命が延びている一方で、健康上の問題がなく日常生活を送れる期間を示す健康寿命との間には、一定の差があるのが実情です。

厚生労働省の資料によると、2022年時点の平均寿命は男性81.05年、女性87.09年であるのに対し、健康寿命は男性72.57年、女性75.45年とされています。

出典:厚生労働省「平均寿命と健康寿命

つまり、平均寿命と健康寿命の差は男性で約8.5年、女性で約11.6年あるということです。

この期間には、介護や生活支援が必要になるだけでなく、自分の意思による財産管理も難しくなってくる可能性があります。

だからこそ、将来的なサポートを見据え、本人が元気なうちに財産管理の体制を整えられる家族信託が検討されるようになってきています。

家族信託のメリット

家族信託は、将来の財産管理や承継に備えるうえで、以下のようなメリットがあります。

認知症になっても財産が凍結されない

家族信託を行うことで、認知症などにより本人の判断能力が低下した場合でも、あらかじめ取り決めておいた内容に沿って、家族が財産を管理しやすくなります。

契約で定めた範囲内であれば、受託者が委託者名義の預貯金を払い出したり、不動産の売却手続きを進めたりすることも可能です。

財産の承継先を柔軟に設計できる

家族信託では、今ある財産の管理を誰に任せるかだけでなく、将来その財産を誰に承継させるかまでを設定できます。

遺言に近い機能を持たせることができ、「自分が亡くなったあとは配偶者へ、配偶者の死後は子どもへ」といった二次承継以降の承継先まで、あらかじめ決めておくことも可能です。

家族の意向を反映した財産管理がしやすい

家族信託は、家庭ごとの事情や財産の内容に応じて設計しやすいため、家族の意向を反映した財産管理につなげやすい仕組みです。

たとえば、「親の生活費や介護費を優先する」「自宅や収益不動産を維持しながら管理する」「特定の子どもには現金を、多く関わっている子どもには不動産を承継させる」といった細かいルールも、あらかじめ定めておくことができます。

家族信託のデメリット

家族信託は、遺言や成年後見人制度にはない柔軟性を備えている一方で、実際に活用する際には以下のデメリットに注意が必要です。

受託者に負担がかかる

家族信託では、財産の管理や処分を任される受託者に一定の負担がかかります。

受託者は、信託財産を適切に管理するだけでなく、必要に応じて収支の記録や委託者や受益者への報告も行わなければなりません。

直接的な節税効果はない

家族信託には、直接的な節税効果はありません。

委託者である親が亡くなった場合には、信託した財産も含め、その評価や相続税の計算は通常の相続と同等に行われます。

資金がかかる

家族信託を行うためには、公正証書の作成費用や登記費用、弁護士や司法書士などの専門家への依頼費用などがかかります。

特に、専門家に依頼する場合は、数十万円〜百万円程度の費用がかかるケースも少なくありません。

家族信託にかかる資金は不動産担保ローンで備えよう

家族信託は、将来の財産管理や承継の方法を柔軟に設計できる制度であり、相続対策としても注目を集めています。

ただし、弁護士や司法書士などの専門家に相談・依頼する場合には、まとまった費用がかかるケースも少なくありません。

手元資金だけでは家族信託にかかる費用を用意するのが難しい場合は、不動産担保ローンを活用するのも一つの方法です。

不動産担保ローンなら、所有している不動産を担保にすることで、比較的低い金利でまとまった資金を借り入れやすくなります。

無担保ローンと比べて金利が抑えられ、借入期間も長めに設定しやすいため、毎月の返済負担をならしながら無理のない資金計画を立てやすい点がメリットです。

協和信用保証株式会社では、不動産担保ローンに特化した貸付を行なっております。

家族信託にかかる費用の調達についても、お気軽にご相談ください。

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