不動産担保融資を検討する際、特に会社員の方が必ず考えなければならないのが「返済比率」についてです。返済比率とは、収入に対して返済金額の占める割合のことで、ローンや融資を利用する際、安定した返済計画を立てることができるか否かを見極める判断材料となります。またローン会社や金融機関側の審査においても、審査対象となる不動産担保融資だけでなく、自動車ローンや教育ローン、クレジットカードローンなどすべての返済金額が会社員の方の年収に対してどれくらいになるのか?は重要な審査項目になるのです。今回はこの返済比率について解説していきたいと思います。
住宅ローンや不動産担保融資における返済比率とは
返済比率とは、ローン会社や金融機関の住宅ローンや不動産担保融資、その他カードローンや自動車ローンなど、すべての返済額が収入全体の何割を占めているのかを数値化したものです。返済比率は次の計算式により算出することができます。
返済比率(%)=返済額÷ 収入× 100
例えば、月収が25万円の方がカードローンを毎月5万円返済する場合、返済比率は20%ということになります。年収で計算する場合も同様に、1年間で返済する返済額の合計を年収で割った数値が返済比率です。
総量規制との違い
返済比率と混同して間違えてしまいがちなものに「総量規制」という法律上の返済に関するルールがあります。総量規制とは、貸金業法で定められた決まりで、貸し手(貸金業者)に対し、借り手の返済能力を超える過剰融資を禁止しています。会社員の場合、ローンを組める金額の上限は年収の3分の1までです。つまりは、年収が300万円の会社員の方の場合、ローンを組める金額の上限は100万円までということになります。
総量規制には適用除外となる場合がある
貸金業法で総量規制が定められており、会社員などの個人が年収の3分の1を超える金額のローンを組むことはできませんが、総量規制には適用例外があります。例えば、所有する不動産(自宅以外)を担保に設定する不動産担保ローンは、総量規制の適用除外となります。自宅以外に所有する土地や建物を担保に設定することで、返済能力が高いと判断され、総量規制以上の金額の融資を受けることができるのです。その他にも、個人の方が個人事業主として事業を行おうとする場合の不動差担保ローンや事業融資も総量規制の例外となります。
会社員の不動産担保融資の審査は返済比率によって左右する
会社員であっても、自宅以外に所有する不動産担保ローンや個人事業のために必要な事業融資は総量規制の適用除外となり、年収の3分の1を超える高額な融資を受けることが可能です。しかし、ローン会社や金融機関の審査によって上限金額が設定されます。
例えば、年収300万円の会社員が1億円のマンションを購入したいからと、田舎にある空き家を担保に設定した不動産担保融資を申し込んでも、金融機関によっては審査で落とされてしまい、1億円分の融資を受けることができないケースが殆どでしょう。
会社員の不動産担保融資審査の判断材料として重要となる項目は大きく次の3つです。
・不動産の担保価値
・金融機関のリスク設定
・返済比率などの借り手の返済能力
不動産の担保価値とは、不動産評価額のことであり、路線価など国が定めた数値を基準に算出した評価額です。金融機関のリスク設定とは、それぞれの金融機関が将来的に発生するかもしれないリスク、つまりは融資金額が回収できなくなってしまう可能性を見込んで、不動産の評価額の満額では融資せずに70%程度に融資上限を設定することをいいます。最後に、審査において最も重要となる項目が、借り手の返済能力です。勤続年数などの安定性が審査項目に入ってきますが、なかでも返済比率が審査の合否を左右していきます。会社員であれば本業の収入に加えて所有不動産の家賃収入分など、収入全体に占める返済金額の割合が何%なのかによって審査結果を判断いたします。金融機関それぞれで返済比率の考え方が異なるので一概には言えませんが、一般的には、返済比率が50〜100%の間の場合は審査が通る可能性はないと言われています。
つまり、会社員が融資を受けようとする場合、不動産担保融資においても返済比率を意識した融資申込金額の設定をし、返済計画を立てる必要があるということです。
まとめ
今回は、会社員が不動産担保融資を利用する場合において「返済比率」という考え方の重要性を解説してきました。自宅以外の所有不動産を担保にした融資については、総量規制による年収の3分の1という上限金額は適用除外となりますが、各金融機関やローン会社は、審査の合否の多くを返済比率によって判断していきます。会社員が不動産担保融資を利用する際の返済比率について、また、より詳細に不動産担保ローンについてご覧になられたい方は、以下の当社サイトをご参照ください。
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