


老後には、家族構成や生活スタイルの変化に伴い、よりコンパクトな住宅や高齢者向け住宅などへの住み替えを検討する方も少なくありません。
住み替えに必要な資金は、賃貸・住宅購入・老人ホームなど、選択する住まいによって大きく異なります。
この記事では、老後の住み替えにかかる費用の目安を具体的なデータとともに紹介し、住宅ローンや自宅の売却、不動産を活用した資金調達方法について解説します。
老後の住み替え先としては、主に以下の4つが考えられます。
必要な資金は、住み替え先によって数十万円程度の初期費用から数千万円規模まで大きな差があります。
住み替え後に発生する家賃や管理費、介護費なども含めて、長期的な資金計画を立てることが大切です。
賃貸住宅への住み替えは、住宅を購入する場合と比べて、まとまった購入資金を用意する必要がない点がメリットです。
一方、高齢者は賃貸住宅への入居にあたって、家主から入居を敬遠される場合があります。
国土交通省の資料によると、住宅確保要配慮者の入居に対して一定割合の賃貸人が拒否感を持っており、高齢者の入居制限理由では「居室内での死亡事故等に対する不安」が約9割を占めています。
出典:国土交通省「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の 促進に関する法律(住宅セーフティネット法)等の 一部を改正する法律等について」
一般的な賃貸住宅への入居に不安がある場合は、「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」も選択肢での一つです。
サ高住とは、バリアフリー構造を備え、安否確認と生活相談サービスの提供が必須とされている高齢者向け住宅を指し、ほとんどの住宅が食事提供サービスも行っています。
家賃のほかに共益費や生活支援サービス費、食費等がかかるため、住み替え先を選ぶ際は、毎月かかる費用の内訳と総額を確認することが大切です。
老後の生活に適した戸建てやマンションを購入する方法もあります。
国土交通省の「令和7年度 住宅市場動向調査」によると、住宅の平均購入資金は以下の通りです。
住宅購入代金以外にも、登記費用や仲介手数料、火災保険料などがかかります。
老後に住宅を購入するときは物件価格だけで判断せず、税金や各種手数料、引っ越し費用なども含めて資金を準備することが重要です。
有料老人ホームへの住み替えでは、入居時の前払金と入居後の月額費用を確認する必要があります。
料金体系は施設によって大きく異なり、前払金を設けず月額利用料を高めに設定する施設もあれば、入居時にまとまった前払金が必要な施設もあります。
「老人ホームなら○○万円」と一律に考えるのではなく、候補となる施設について、入居時費用と月額費用の両方を確認することが大切です。
老後の住み替えでは、数千万円規模の住宅購入資金や、継続的な家賃・施設利用料などが必要になる場合があります。
預貯金だけで不足する場合は、現在の自宅などの資産も活用しながら資金を準備する方法を検討しましょう。
老後に新しい住宅を購入する場合でも、金融機関が定める条件を満たせば住宅ローンを利用できます。
ただし、住宅ローンでは申込時年齢や完済時年齢が定められていることが多いため、高齢になってから申し込むほど返済期間が短くなり、同じ金額を借りても毎月の返済額が大きくなりやすい点に注意が必要です。
親子で住宅を取得する場合は、「親子リレー返済」を利用する方法もあります。
例えば、申込者が60歳3か月、後継者が30歳3か月の場合、通常は最長19年ですが、親子リレー返済なら最長35年まで設定が可能です。
ただし、子どもなどの後継者も連帯債務者となるため、本人の住宅購入や今後のライフプランへの影響も考えて利用を検討しましょう。
現在の自宅を売却し、その代金を新しい住まいの購入資金や高齢者向け住宅の入居費用に充てる方法もあります。
売却代金を活用すれば、新たな借入額を抑えられるのがメリットです。
一方、住み替えでは「売り先行」と「買い先行」のどちらを選ぶかによって資金繰りが変わります。
売り先行の場合は新居の資金を確定しやすい反面、新居が決まる前に自宅を引き渡すと仮住まいが必要になるでしょう。
買い先行の場合は引っ越しを進めやすいものの、自宅の売却が遅れると、新居の購入代金と現在の自宅にかかる費用を一時的に並行して支払わなければならない点がデメリットです。
また、自宅を売却した金額がそのまま手元に残るわけではありません。
仲介手数料などの売却費用や、売却益が生じた場合の税金なども考慮して、実際に住み替えへ使える金額を確認しておきましょう。
リバースモーゲージは、自宅などの不動産を担保として融資を受け、死亡時などに元金をまとめて返済する仕組みの商品です。
住宅金融支援機構と民間金融機関が提携する「リ・バース60」では、毎月の支払いは原則として利息のみで、元金は契約者が亡くなった際に相続人が一括返済するか、担保物件の売却代金などによって返済します。
資金使途には、本人が居住する住宅の購入・建設、リフォーム、住宅ローンの借り換えなどがあり、老後の住み替えにも利用できます。
また、サービス付き高齢者向け住宅の入居一時金も対象です。
ただし、資金使途が住宅関連に限定される商品も多く、生活費などに自由に利用できるとは限りません。また、担保不動産を売却して返済する場合には、その不動産を相続人へ残せない可能性があります。
借入条件や死亡後の返済方法まで確認したうえで利用を検討しましょう。
不動産担保ローンは、土地や戸建て、マンションなど、所有する不動産を担保として融資を受ける方法です。
商品によっては住宅購入だけに資金使途を限定していないため、新居の購入費用や引っ越し費用など、住み替えに伴うさまざまな支出に利用できます。
また、現在の自宅をすぐに売却したくない場合に、必要な資金を先に確保する方法として検討することも可能です。
老後の住み替えに必要な資金は、賃貸住宅やサ高住、住宅の購入、有料老人ホームなど、選ぶ住まいによって大きく異なります。
まずは住み替え後の生活費まで含めて必要額を整理し、預貯金や自宅の売却、ローンなどから適した方法を検討しましょう。
現在の不動産をすぐに売却せず資金を確保したい場合には、不動産担保ローンがおすすめです。
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