手形は、取引を行う時点では必要な金額が手元になかったとしても発行することができることから、事業の取引でよく使われています。手形取引を行う上で発生してしまうことがあるのが不渡手形です。そこで今回は、不渡手形とは何か、不渡手形を出してしまうとどうなってしまうのかについてご紹介します。
不渡手形とは
不渡手形とは一般的には振出人の口座の残高不足が原因で、受取人がお金を受け取ることができない手形のことをいいます。しかし手形が不渡りになってしまう原因は、残高不足だけではありません。手形の記載ミスや必要事項が記載されていない、呈示期間が過ぎてしまっていることなどが原因の0号不渡り、振出人の口座の残高不足が原因の1号不渡り、契約不履行、詐欺、偽造などが原因の2号不渡りの3種類があります。
0号不渡りとは?
0号不渡りとは、受取人が手形を現金化できる呈示期間が過ぎてしまっているものや、記載ミスのような不備がある手形のことをいいます。約束手形は、呈示期間といって手形を持っている人が銀行に対して現金化を求められる期間が決められています。約束手形の呈示期間は支払期日を含めて銀行の3取引日以内なので、呈示期間を過ぎてしまうと銀行に取引委任をすることができなくなってしまいます。
0号不渡りは振出人が原因で不渡りになったわけではありませんので、不渡届の作成や銀行の取引停止といったペナルティはなく、いわゆる不渡りという扱いにはなりません。
1号不渡りとは?
1号不渡りとは、振出人の当座預金に手形の額面以上の残高がなく、残高不足が原因で起こる不渡りのことを言います。また、受取人が現金を受け取る前に振出人が当座を解約してしまった場合も1号不渡りになります。1号不渡りの場合、不渡手形になった原因は振出人にありますので、不渡届の作成や銀行との取引停止などのペナルティを受けることになります。
2号不渡りとは?
2号不渡りとは、0号不渡りにも1号不渡りにも該当しないものを言います。たとえば、偽造された手形や盗まれた手形などは2号不渡りになります。他にも発注した商品が納品されなかったなどの契約不履行があり、故意に手形の引き落としができないようにした場合も2号不渡りになります。ただし、2号不渡りの場合も1号不渡りと同様に不渡届の作成は行われますが、2号不渡りは資金不足が原因ではありませんので、不渡届に対して異議を申し立てることができます。
不渡手形を出すとどうなってしまうの?
不渡りを出してしまうと、金融機関が「不渡届」を作成し、手形取引交換所に提出します。不渡届を受け取った手形交換所は、注意を促すために不渡届の内容を加盟銀行に通知します。1度目の1号不渡りは、不渡届が作成され、その内容が加盟銀行に通知されますが、それ以外の処分はありませんので当座を使った取引は継続することができます。しかし、半年以内に2度目の不渡りを出してしまいますと、銀行からの借入や当座を使った取引が2年間行うことができなくなります。2度目の不渡りを出してしまいますと、銀行から借り入れができなくなるだけでなく当座を利用することもできなくなりますので、手形や小切手を使った取引をすることができなくなります。
不渡りを出してしまいますと、利用していた銀行だけではなく他の金融機関から融資を受けることも難しくなるだけではなく、手形や小切手での取引ができなくなりますので倒産につながる可能性が高くなるといえます。
不動産担保ローンを利用して事業資金の融資を受ける方法も
短期間で2回不渡りを出してしまうと、当座を使った取引が停止されてしまうため、金融機関から融資を受けるのが難しくなってしまうだけではなく手形や小切手を使った取引が不可能になります。そのため2回不渡りを出してしまうと実質倒産だと言われているように、会社を立て直すことはかなり難しくなります。手形は発行した時点では額面の資金を調達しておく必要がないので、事業を行う上で手形取引は便利な面がありますが、万が一不渡りを出してしまいますと会社の立て直しが難しくなってしまうという危険もあります。
資金繰りが厳しい、不渡りになってしまう可能性がある場合は、不動産担保ローンを利用して融資を受ける方法を検討してみましょう。不動産担保ローンは、不動産を担保にするため比較的審査に通りやすく、高額な融資も期待できますし、返済期間が長く設定されているためできるだけ返済が負担にならないように返済計画を立てることも可能です。
不動産担保ローンを専門に扱っている会社であれば、高く査定をしてもらえる可能性がありますので、不動産担保ローンは銀行の商品ではなく不動産担保ローンを専門に扱っている会社に相談してみることをおすすめします。
最後に
不渡手形=倒産ということではありませんが、不渡手形を出してしまうと手形取引交換所から加盟銀行に不渡りの情報が開示されてしまうため、今後の事業資金の調達がかなり難しい状況になってしまいます。どこからも融資を受けることができなくなってしまうと、経営に行き詰まり、倒産してしまう可能性も高くなります。不渡りを出さないようにするためには、早めの行動が大切です。資金繰りに不安がある、取引先の入金が遅れがちになっているなどの資金調達に不安材料がある場合は、不動産担保ローンを扱っている会社に相談してみることをおすすめします。