不動産担保ローン関連コラム

税金滞納により不動産が差し押さえに!差し押さえを解除する方法

生活が苦しくなり、税金の支払いができなくなってしまうというのは珍しい話ではありません。役所から来る督促状を開封することもなく放置していたら、ある日突然給与や不動産が差し押さえられていて、やっと事の重大さに気付いたという人も少なくないのではないでしょうか。突然、自宅マンションなどの不動産が差し押さえられてしまったら、「これからどうしたらいいかわからない…」という人も多いでしょう。ここでは、税金滞納により給与や不動産が差し押さえになってしまった場合の解除方法について、解説します。

税金滞納による差し押さえを防ぐには督促状を放置しない

今は給与や不動産の差し押さえにはなっていないけれど、税金を滞納していて督促状が届いていて放置しているという人は、できるだけ早く役所に出向いて納税に関する相談をすることから始めましょう。給与や不動産が差し押さえられてしまう最大の原因は、もちろん税金を滞納していることが根本的な理由ですが、督促に応じることもなく何も相談がないことが一番の原因です。

現状を説明すればほとんどの場合、分割など無理のない形での納税に相談にのってもらうこともできますので、督促状は放置せずにすぐに相談するようにしましょう。

税金滞納による差し押さえは税金が完納するまで

税金を滞納し、給与や不動産の差し押さえが始まってしまったら、基本的には税金が完納するまで給与の差し押さえが続きます。ローンを支払い中の自宅などの不動産を差し押さえられてしまった場合は、差し押さえ登記されてしまいます。差し押さえ登記とは抵当権や担保権の一種で、差し押さえ登記がついてしまうと、不動産は自由に売却ができなくなります。

差し押さえが始まってしまうと解除するのは容易ではありません。

貸金業者からお金を借り、返済が滞ったことで給与や不動産が差し押さえになってしまった場合は、裁判所に個人再生、自己破産の申請をすれば給与や不動産の差し押さえをストップさせて債務整理をすることができますが、税金は債務として扱うことができないので支払いを続けなければいけないのです。

税金滞納による給与の差し押さえは解除できるのか

税金の滞納による給与差し押さえが法律的に解除できるケースは、「国税徴収法」という法律で定められています。差し押さえが解除できる内容には、次のようなケースがあります。

国税徴収法第153条「滞納処分の停止の要件等」

1.「滞納処分執行等」をすることができる財産がないとき
2.滞納処分執行等をすることによって生活が著しく窮迫させるおそれがあるとき

税金を支払うために処分する財産がない場合や、給与などの差し押さえをすることによって生活を窮迫させるおそれがある場合は差し押さえを解除できる可能性があります。

税金滞納による不動産の差し押さえは解除できるのか

税金の滞納により不動産を差し押さえられてしまった場合、差し押さえを解除してもらうためには基本的には滞納している税金を全額支払う必要があります。

不動産が差し押さえられてしまった場合、不動産担保ローンを利用してお金を借りたいと思ったとしてもローン会社では税金の滞納などがないか、抵当権や担保権はついていないかを調べているので、不動産に資産価値があったとしても不動産担保ローンを利用することは難しくなります。

税金の滞納分の支払いが猶予できるケース

税金の差し押さえは国税通則法46条1項の内容に該当する場合は、その支払いを猶予することができます。

震災、風水害、落雷、火災などにより納税者が財産の大きな損失をした場合、税金の支払いの猶予の手続きを行うことで支払いを猶予してもらうことができます。災害などの理由で納税が困難な場合は支払い免除の申請を行っておきましょう。

税金滞納による差し押さえを解除する方法

滞納した税金は基本的に支払い義務が消失することはありません。そのため、税金を滞納して給与や不動産が差し押さえられてしまった場合にまずに行わなければいけないことは、給与や不動産の差し押さえを解除できる方法を考える、現在の生活の状況の中でなんとか支払える方法を考えることです。

税金分に充てられる金額を算出する

今の生活状況の中から滞納した税金分に充てられる金額を算出してみましょう。生活が困窮している中で税金分を捻出するのは簡単なことではありませんが、これくらいならなんとか捻出できるという金額を考えてみましょう。

国税徴収法第153条を利用できる方法を考える

一度給与や不動産が差し押さえられてしまうと、差し押さえを解除することは簡単なことではありませんが不可能でもありません。

まずは、給与の差し押さえの解除の理由にできる国税徴収法第153条の中の「滞納処分執行等をすることによって生活が著しく窮迫させるおそれがあるとき」を利用する方法を考えてみましょう。ただし不動産を差し押さえられてしまった場合は、滞納していた税金を全額支払う方法を考える必要がありますので、不動産の差し押さえ登記を解除することを考える必要があります。

今まで役所からの連絡や督促状を放置していたため、口頭で生活が窮迫していると伝えたとしても差し押さえを解除してもらえる可能性は極めて低いといえます。そのために必要なのは、現在の家計の収支状態を証明できる書類をそろえて、給与をさしおさえられてしまうと生活ができなくなること、不動産を差し押さえても税金を支払うことができないということを証明することが必要です。

現在の収入、生活に必要な費用、税金の滞納分以外に返済している債務額などを証明できる書類をそろえ、まずは役所に納税方法について相談に行くことから始めてみましょう。役所の担当者によって対応が異なる場合がありますが、こちら側の状況を考慮して無理のない返済プランで交渉が成立することがあります。

「今の状況ではどうすることもできない」と開き直る態度を取ってしまうと、今よりも状況を悪化させてしまう可能性もあります。なんとか返していきたいと思っていること、この金額で頑張って納税していきたいということを根気強く交渉してみましょう。

最後に

税金の滞納で給与や不動産が差し押さえられてしまった場合は、そのまま何もしないと税金が完納するまで差し押さえは続きますし、不動産は公売にかけられてしまうと不動産を失うことになります。大切なことは今の状況を説明し、自分が税金の支払いにまわせる金額を提示して根気強く交渉することです。現在督促状を放置してしまっている人は、給与や不動産が差し押さえられてしまう前にできるだけ早急に納税の相談をするようにしましょう。

税金滞納と不動産担保ローンの関係について、より詳細にご覧になりたい場合は、こちらをご参照ください。

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