予想外の事態が起きた場合、資金ショートはどの会社でも起こる可能性があります。そこで今回は、資金ショートしてしまう原因として多いものや、資金ショートしてしまったときの対処法などを解説します。
資金ショートとは
資金ショートとは、手元の預貯金や現金が足りない状態のことです。ショート（short）は、英語で「短い」という意味の言葉ですが、「数量 や程度が目標に達せず不足している」という意味もあります。
資金ショートは、仕入や人件費などを支払う現金や預貯金が足りない状態になっていることを表す言葉なので、仮に経営は黒字であったとしても、資金ショートを起こす可能性があります。反対に経営は赤字であったとしても、必要なときに必要な資金があれば経営状態を改善するための行動は必要ですが倒産の危険は低いと言えます。つまり、赤字よりも資金ショートの方が会社にとって危険な状態になって言えるのです。
資金ショートしたらどうなる？
資金ショートしたら、以下のような状態が起こる可能性が高くなります。
- 給与が正常に支払われなくなり、社員が辞めてしまう
- 銀行の融資がストップする
- 取引先の信用を失い、取引停止となる
- 会社の経営を続けられなくなる
資金ショートしたらすぐに会社が倒産してしまうとは限りませんが、上記のようなことが起こる可能性が非常に高くなります。
つまり、資金ショートの可能性が高いと判断した場合は、早急に資金ショートを回避する対策を取る必要があります。
資金ショートする原因
資金ショートしてしまう主な原因は、管理不足や認識不足だと言われています。
会社の資金の流れを把握できていない
資金ショートする原因として多いのが、「日々の業務が忙しくて資金繰表を作成していなかった」「会社の資金の流れを把握していなかった」などがあります。
会社の場合、掛売りや掛買いをすることが多いため、納品しても代金は入金されていない、仕入はしても支払いをしていないという状態は常に起こっています。
入金と支払いのタイミングがずれてしまうと資金ショートを起こす可能性があるため、いくらの入金があるのか、いくらの出金予定があるのかは把握しておくことが大切です。
税金等の支払いを認識していない
毎月発生する仕入や給与などは比較的把握しやすいですが、借り入れの返済、税金などは、支払日や支払う金額をついつい忘れてしまうという会社もあるのではないでしょうか。毎月発生する支払い以外の急な出費や税金などの支払いの予定もしっかり管理しておかなければ、資金ショートする可能性があるでしょう。
予測不能な緊急事態が起こった場合
コロナ禍のように予測不能な緊急事態が起こると、平常時とはまったく異なる経営状態に陥ってしまうことがあります。特に新型コロナウイルス感染症のように、ある日突然売上がゼロに等しくなってしまうといったことが起きた場合も資金ショートの可能性が高くなります。
資金ショートを回避するための対処法
資金ショートは赤字経営よりもより深刻な状態に陥る可能性が高いため、早急に対処することが必要です。ここからは、資金ショートを回避するための対処法を紹介します。
請求漏れや未入金を確認する
資金ショートを回避するためには、まず自社でできることを最大限行いましょう。
例えば、請求漏れの確認や未入金の確認を行うことで、本来入金されるべきお金が入っていないということに気付ける可能性があります。
入金の前倒しを依頼する
資金ショートを起こすと、取引先などにもっと大きな迷惑がかかる可能性が高くなります。
そのため、どうしても支払いに間に合わないという緊急事態の状態に陥ったときは、取引先に入金の前倒しを依頼するのも一つの方法です。
入金期日の変更を依頼する
借り入れの返済、買掛金の支払日、税金の支払いなど返済日の変更が可能なところがあれば、支払日の変更を依頼してみましょう。
例えば銀行への返済や税金の支払いなどは、事前に相談をすることで支払日の変更が可能なケースもあります。
支出を減らす
資金ショートしそうな期日まで少し余裕がある場合は、できるだけ支出を減らして現金を使わないようにすることで支払いにまわせるお金を増やすことができます。
資金繰りが厳しいと感じるようになった時点で、経費を見直してみましょう。
つなぎ融資を利用する
つなぎ融資とは、資金ショートを回避するために短期間の融資を受けることです。
一般的につなぎ融資は住宅ローンが利用できるまでの間に建築業者に対して支払う中間金や、家を売却して新しい家を購入する場合、家が売れるまでの間に融資を受けるといった使い方を見かけるケースが多いですが、一時的に資金繰りが悪化して支払いが厳しくなったときなどの事業資金としても、つなぎ融資を活用することができます。
最後に
資金ショートは、赤字になるよりも深刻な状態です。資金ショートの可能性があると分かった時点で、できるだけ早く対策をする必要があります。資金ショートを回避する方法には、入金を早める、支払いを遅くする、支出を減らすといった方法もありますが、緊急性が高い場合はつなぎ融資の利用も検討してみてはいかがでしょうか。
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